徳川将軍と江戸幕府~阿部正弘編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
斉昭、松陰の発想が是!? 阿部正弘の評価との違いに物申す
徳川将軍と江戸幕府~阿部正弘編(5)徳川斉昭の発想と阿部正弘の現実感覚
徳川(水戸)斉昭の発想は、まるで「昭和20年8月段階の大本営陸軍部、陸軍の参謀たちの作戦」のようだと山内氏は語る。一方、阿部正弘は決断までに時間はかかるけれど優れた現実感覚を持つ。相容れない両者についてどう考えたらいいのだろうか。幕府の中枢を担った彼らの政治家としての功罪を考える。(全5話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:8分09秒
収録日:2021年3月29日
追加日:2024年4月6日
≪全文≫

●水戸派の理想 vs 阿部正弘の現実感覚


山内 例えば早い話、徳川(水戸)斉昭をどうしてくれるのかと。非常にめざましい形で、水戸の老公(烈公)を、海防参与や事実上は将軍の顧問ということで幕府の中に入れたけれど、ああいう人を政策決定の場に入れていいのかと。こういう疑問は、人事の任用の時からありました。しかも徹底して反対したのは、他の譜代大名たち、そして幕府の実務官僚たちです。

―― 実際に一番被害を受ける人たちですね。

山内 そう。だから、川路聖謨などは水戸斉昭についてずいぶん面白くない感情を持っていたと思う。彼は、斉昭が隠居(蟄居)を命じられて逼塞していた駒込の下屋敷に出かけていって、ペリーの来航に関してのご意見を承るということで阿部の使者として行ったわけですが、さんざっぱら怒鳴られて、やり込められた。

―― けんもほろろにやられるわけですね。

山内 まさにそうです。しかし、その時点で本当に実際の政策として採り得るのはいったい何なのか。阿部正弘のように、慎重に国を開けていく。それに、斉昭の言うことはいいけれど、実際に戦争になったときに、本当にそれができるのかと。

―― それほどの軍備が、備えとしてないわけですね。

山内 ない。それから斉昭はよく「侍たちが強い」と言って、「陸戦になれば、こっちのものだ。だから上陸させればいい」「上陸させて、(陸戦を)やってみたら、こちらが勝つ」と言っていますが、この発想は昭和20年8月段階の大本営陸軍部、陸軍の参謀たちの作戦もそうでしたね。

―― まったくそうですね。本土決戦ですね。

山内 本土決戦。こちら(陸戦)でやって挑めば、「勝機は我にあり」ということです。もちろんこちらも同じ武器をもって、同じような補給等をもっていればそうだけれど、それが尽きて、兵器も何も相手にならないところで、それを言ってもね。

 最終的に私が斉昭に対して非常に懐疑的なのは、彼にはいわゆる国民的な視点や民百姓に対する関心といったものがすこぶる希薄だからです。それで実際、どうするのか。勝てもしないのに異国の軍隊と戦って、勝負はどうするのか。

 しかし、藤田東湖も「いや、任せろ」と言っています。「自分が船に上がってペリーと直談判する」、そして「白刃一閃」と「しらはのやいば」を出してくる。白刃一閃で、「ペリーの首級は見事に落ちん」などと言っている...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
平安時代の歴史~「貴族道」と現代(1)日本の歴史における平安時代の意味
平安時代の意外な真実…貴族社会の華やかさの裏の激動と転換
関幸彦
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(4)アレクサンドル・ネフスキーの英雄化
ロシアの英雄「アレクサンドル・ネフスキー」はなぜ英雄か…ドイツ騎士団と戦った歴史がどう利用されたか
上月豊久
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
今後の技術革新と企業経営(6)仮想通貨とフィンテック
仮想通貨が本当の「通貨」にならない理由
柳川範之
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠