江戸とローマ~「父祖の遺風」と武士道
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
大カトーが主張した父親の責任。古代ローマ人は教育熱心
江戸とローマ~「父祖の遺風」と武士道(2)ローマ人が大事にした子どもの教育
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
騎士道精神はキリスト教道徳に付随するものだったが、武士道や父祖の遺風はそうではない。それらは多神教社会、すなわち多様な価値観を認めるローマと江戸の社会において育った価値観である。今回は、ローマの貴族一家において代々子どもの教育における要となってきた父祖の遺風についての一面を紹介する。(全6話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分37秒
収録日:2021年7月16日
追加日:2022年11月19日
≪全文≫

●先祖の彫像を見つつ学ぶローマ人の教育


―― 前回、先生から騎士道と父祖の遺風の比較の話がありました。ローマ時代は、末期ではキリスト教になるものの、それまでは一神教ではない社会が続いていました。騎士道の場合は明らかにキリスト教道徳があり、騎士道精神がそこに付随するものとして位置づけられると思います。一方、武士道は多神教の国の文化であり、父祖の遺風も多神教だった頃のローマ帝国の共和政の伝統を引いているところがあると思います。先生は、そのあたりの違いについてお感じになるところはありますか。

本村 なかなかいい指摘をしていただきました。神々を、つまり多様な価値観を信じている時代であり、一方、中世の騎士道はむしろ一神教的なキリスト教の中で興ったことだということですね。(その違いが、)私自身、武士道と比較するのは騎士道よりもむしろローマ人の父祖の遺風のほうが適当だと思ったことの一つのファクターではないかという気がします。

 父祖の遺風は、何よりも子どもを教育するときに、いろいろなことをどう考えるべきかの一つのよりどころになっています。子どもの教育は実に先祖代々行われてきたことで、ローマ人の場合はそれなりの家族を訪ねると、今でいえば写真があるように、自分の祖父やそのまた祖父の彫像が残っているわけです。

 彼らは(彫像を見ながら)日常的に「このおじいさんはこんなことをした。ひいおじいさんをこういうことをした」と話題にしている。それを聞きしながら、子どもたちは育っていくことになります。そのときの子どもたちの意識としては、やはり彼らに負けないような人になろうという意識が強かったのではないかということです。


●父親の教育責任を主張したローマの国粋主義者


本村 日本ではよく2世や3世議員になった人たちはたいしたことがないと目され、「親の七光り」と呼ばれたりします。しかし、ローマの元老員などを見ると、2世、3世どころか、5世、6世、8世がいくらでもいるわけです。

 そういう中、彼らの心に刻まれたのは、常に祖父や曽祖父、さらにご先祖様に当たる人たちがどういうことをして、どういう業績を上げたか、ということです。家の物語を聞かされてきた彼らが、それよりももっとましな人間にならなければいけない、という形で自分自身磨きをかけるところがあります。

 子どもたちが親やご先祖様の業績や話...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
歌舞伎の魅力とサバイバル術…市川團十郎の歴史から考える
堀口茉純
ソフトな歴史学のすすめ(1)グローバル・ヒストリーと民俗学
グローバル・ヒストリーの中で日本の歴史を俯瞰する意味
上野誠
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(1)はじめに
新史料の発見で見直される「本能寺の変」
藤田達生

人気の講義ランキングTOP10
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(7)ポグロムとホロコースト
歴史の中のユダヤ人大量虐殺…ポグロムとホロコーストの違い
鶴見太郎
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(4)ビットコインは通貨たりうるか
ビットコインは通貨たりうるか…法定通貨との併存も困難?
養田功一郎
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
高市政権の進むべき道…可能性と課題(4)外交力と防衛力の強化へ
求められる「能動的サイバー防御」、問われる本物の外交力
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(5)海外協力隊と国際交流
永遠の課題は透明性…国際NGOに求められるガバナンス意識
小原雅博