「自分をコントロールする力」の仕組み
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ごっこ遊び、モンテッソーリ教育…子どもの実行機能の発達
「自分をコントロールする力」の仕組み(6)訓練による実行機能発達の可能性
森口佑介(京都大学大学院文学研究科教授)
実行機能の発達には親子関係が重要だが、それ以外にも訓練によって発達を促進することができる。保育園や幼稚園への通園をはじめ、ごっこ遊び、モンテッソーリ教育、音楽など、子どもの実行機能の発達に良いと考えられているものも少なくない。こうしたことを親子だけでなく、地域ぐるみで行う環境づくりが進めば、より多くの子どもの実行機能を発達させていくことも可能である。(全6話中第6話)
時間:12分21秒
収録日:2020年12月8日
追加日:2021年4月4日
≪全文≫

●通園やごっこ遊びが子どもの実行機能の発達を助ける


 最後に、親子関係以外の要素についてお話ししようと思います。私は今、大阪府の家庭支援事業に携わっていますが、そこで感じたのは、子どもと良い親子関係を築けないという家庭が多くあることです。そのような場合でも、その子どもたちの将来に問題が発生するかというと、必ずしもそうではありません。

 その理由として、親子関係以外の要素も実行機能に影響を与えるためです。例えば、保育園や幼稚園に通うことも重要だといわれています。ある研究では、保育園・幼稚園に通う子どもと通わない子どもを比較して、実行機能に関わる多動性や攻撃性の違いを分析しました。すると、保育園・幼稚園に通うだけで、自分をコントロールする力が成長することが分かりました。さらに、この効果は貧しい家庭の子どもにとって、より大きいのです。

 保育園や幼稚園への通園は、規則正しい生活習慣を持つことにつながります。また、保育士、あるいは幼稚園の先生が、子どもが信頼を置けて、大好きな大人としての役割を果たします。親の代わりに必ずしもなる必要はありませんが、その存在によって子どもの心が救われる側面があるのです。このような理由で、保育園や幼稚園にしっかりと通っている子どもは、実行機能が成長しやすいことが分かっています。先ほども指摘した通り、そうした通園の効果は、貧しいご家庭、あるいは恵まれたご家庭の子どもにとって、より大きいことも示されています。

 また、幼児教育や保育のプログラムにも、実行機能や自分をコントロールする力の発達に、良い影響を与えるものが、最近いくつか提案されています。その一つは、独り言やごっこ遊びを特に奨励するような保育・教育プログラムです。

 これはカナダの研究者が提唱したプログラムによるものなのですが、道具を用いてごっこ遊びや劇をすることで、実行機能を高めることができるということが示されています。なので、まずはこういったごっこ遊びとか、そういったことが実行機能の発達にはどうも大事らしいということが分かっています。

 なぜごっこ遊びが子どもの実行機能の成長・発達に良いかというと、一つは身体活動であることが挙げられます。それ以外にも、ごっこ遊びの中では、ルールを守る必要があります。例えば、お医者さん...

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