「自分をコントロールする力」の仕組み
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実行機能を高める方法は?…重要な生活習慣と親子関係
「自分をコントロールする力」の仕組み(5)実行機能を伸ばす環境要因
哲学と生き方
森口佑介(京都大学大学院文学研究科准教授)
実行機能には、さまざまな環境要因によって個人差が生じる。実行機能の発達を高めるためには、規則正しい生活を送る必要がある。また円滑な親子関係や夫婦関係も、ストレスなく子どもが発達していくために重要である。実行機能は自分で目標を定め自己を抑制していく力なので、過保護も悪影響を与えることになる。適度なしつけと子どもの自主性を重んじる姿勢が親子関係には求められているのだ。(全6話中第5話)
時間:9分35秒
収録日:2020年12月8日
追加日:2021年3月28日
≪全文≫

●実行機能の発達で重要なのは規則正しい生活習慣


 前回は、実行機能は子どものときから青年期にかけて発達していくというお話しをしました。そして、実行機能が高い子もいれば低い子もいるという話もしてきました。このような個人差がどのようにして生まれるかという点について、お話ししたいと思います。

 現在、実行機能がIQよりも注目されている理由は、実行機能は環境の要因の影響を受けて変化しやすいためです。知能や頭の良さを測るIQについて考えてみると、子どもの頃にIQが高いと大人になっても概ね高い水準が維持されます。逆に、子どもの頃にIQが低いと、大人になっても低いままの場合が多いです。つまり、ある個人の中では、生涯を通じてIQは非常に安定していると考えられています。

 一方、実行機能はIQとは異なり、子どものときに高いからといって、その後も高いとは限りません。逆に、子どものときに低くても、良い訓練や教育を受ければ、高くなる可能性があると実証されています。つまり、実行機能はIQに比べて、教育や保育、子育ての影響を受けやすいのです。したがって、子どもが小さい頃に実行機能の発達をしっかりと支援してあげれば、青年期になって道を踏み外す可能性を低くできるのではないかといわれて、注目を浴びているのです。

 それでは、実行機能の発達において、どのようにすれば高めることができるのでしょうか。これが今、非常に世界中で注目されています。これは当然のように思われると考えられますが、重要なことは、規則正しい生活習慣です。

 まずはやはり睡眠です。1日の合計の睡眠時間ではなく、特に夜間に寝る時間の長さが重要だといわれています。保育園や幼稚園では昼寝の時間が設けてあるために、昼に寝てしまった分、夜に寝られないこともあるかもしれません。しかし、夜に寝ている間に脳の修復が行われ、成長することが分かっているので、夜に寝ることが重要なのです。例えば夜の9時、あるいは遅くとも10時頃までの決まった時間に寝て、朝の7時頃にきちんと起きるという習慣をつけて、たっぷりと夜間に睡眠を取ることがまず重要だということです。

 二つ目は、メディアとの付き合い方です。テレビや、最近ではスマートフォン、タブレットなどの影響で、家庭内の会...

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