「自分をコントロールする力」の仕組み
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
青年期の暴走には脳の変化と感情面の実行機能に関係がある
「自分をコントロールする力」の仕組み(4)実行機能発達のメカニズム
森口佑介(京都大学大学院文学研究科教授)
なぜ実行機能は幼児期に著しく発達するのか。3歳から5歳にかけての子どもを対象とした研究で、実行機能の発達は脳の成長と密接な関係があることが分かった。実行機能は幼児期に著しく発達した後、思考面は緩やかに発達していくのだが、中高生の時期になると欲求を抑える感情面の実行機能は一旦下がってしまう。その時期は脳に大きな変化が訪れるので欲求をうまく抑えられなくなり、暴走したりするなど不安定な時期なのだ。よって、実行機能の発達に関しては、子どもの頃から成人するまで一貫して考える必要がある。(全6話中第4話)
時間:12分27秒
収録日:2020年12月8日
追加日:2021年3月21日
≪全文≫

●なぜ実行機能は幼児期に著しく発達するのか


 ここまで、実行機能の思考面と感情面の二つの側面に関してお話ししてきました。特に重要なこととして、どちらの実行機能も3歳から5歳、6歳程度にかけての幼児期に大きく成長すること、そして小学生の時期に緩やかな成長があることを見てきました。

 それでは、なぜ実行機能は幼児期に著しく発達するのでしょうか。その点について考えていきたいと思います。

 この時期に実行機能が急激に発達する理由は、やはり脳の成長に重なっているからだと考えられています。最近ではさまざまな場面で脳について説明されることが多いので、皆さんもご存じの部分もあるかと思いますが、私たちの心の少なくとも一部は脳によって支配されていると考えられています。脳の中には脳の表面の「大脳皮質」や、脳の奥にある「大脳辺縁系」と呼ばれる領域がありますが、実行機能に関してはどちらも重要です。

 こちらの図をご覧ください。少しややこしいのですが、簡単に説明します。赤い部分は自分の欲求と関わる脳の領域です。例えば食欲や睡眠欲、SNSをやりたいなどの欲求と関わります。したがって、この領域の活動が強ければ強いほど、何かを得たい、食べたい、飲みたい、眠りたいなどの気持ちが強いと考えてください。

 この赤い領域は欲求に関わる脳の領域ですが、当然実行機能の中には、そうした欲求を抑えつけ、制御し、コントロールする部分が必要になります。そのコントロールする部分は、この青い部分なのです。特に「外側前頭前野」と呼ばれる、脳の表面の前頭前野という領域は、欲求をコントロールするために非常に重要な役割を果たしていることが知られています。

 この外側前頭前野という領域は、他の動物、例えばチンパンジーや犬と比較しても、人間において特に成長・発達している部分だと知られており、特に重要な部分だと考えられています。自分をコントロールするための実行機能に、この前頭前野という脳の領域が大きな役割を果たしているのです。


●研究から明らかになった実行機能の発達と脳の関係


 これに関連する私たちの研究についてご紹介します。ちょうど実行機能が発達する時期にある3歳と5歳の子どもを対象に、先ほど紹介した色から形、形から色と...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
老年が惨めと思われる4つの理由とは…キケロの論駁に学べ
本村凌二
本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる
集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り
為末大
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
原因と結果の迷宮~因果関係と哲学(1)因果関係とは何なのか
原因と結果の迷宮―因果関係と哲学
一ノ瀬正樹

人気の講義ランキングTOP10
お金とは何か?…金本位制とビットコイン(1)お金の機能とその要件
お金の「3大機能」とは何か? そしてお金のルーツとは?
養田功一郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(7)ポグロムとホロコースト
歴史の中のユダヤ人大量虐殺…ポグロムとホロコーストの違い
鶴見太郎
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
編集部ラジオ2026(11)日本史から読むメンタルヘルス
【10min解説】與那覇潤先生《日本人とメンタルヘルス》
テンミニッツ・アカデミー編集部
オートファジー入門~細胞内のリサイクル~(5)オートファジーと疾患の関係
がん治療にも応用、オートファジーによる疾患制御の方向性
水島昇
高市政権の進むべき道…可能性と課題(2)財政戦略3つの問題点
高市政権の財政政策の課題は…ポピュリズム政策をどうする?
島田晴雄
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之