現代の小児科学と最高の子育て
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
遺伝の力を示す3つの特徴とは何か
現代の小児科学と最高の子育て(3)遺伝の力と個性の存在
哲学と生き方
高橋孝雄(慶應義塾大学名誉教授(医学部))
遺伝というと「努力しても所詮ムダ」という限界のように言われることがあるが、それは逆である。遺伝子は常に変わらない力としてわれわれとともにあり、多少のばらつきによってそれぞれの個性を生んでいる。人間にとって本当に必要な機能の多くが、練習なしに獲得できるのは遺伝の力のおかげなのだ。(全7話中第3話)
時間:16分34秒
収録日:2021年7月14日
追加日:2021年9月18日
≪全文≫

●遺伝の力には3つの特徴がある


 今回は、遺伝の力あるいは遺伝子の力についてお話をさせていただきます。

 遺伝(遺伝子)の力の特徴は、スライドにもあるように、まずは何をおいても「変わらない力」であること、変わらずそこにいる力です。次に、そのことによってわれわれを「守ってくれる力」です。これはもちろん、子どもの成長や発達、すなわち子育てにも役立つ力です。

 そして3つ目に、これは意外にご理解いただいていない点かもしれないのですが、遺伝の力には「ばらつきがある」ということです。その「ばらつき」は悪い意味ではなく、素晴らしい個性を生むという意味での「ばらつき」ということです。

 これらの点について、次のスライドを用いてお話を進めていきたいと思います。


●正常なものには必ずばらつき、個性がある


 前回のお話で、子どもの育ちには「成長」すなわち形がつくられる過程と「発達」すなわちそこに機能が宿っていく過程の2つがあるということをお話しさせていただきました。

 まず最初に、形がつくられる過程(成長)において、遺伝子の力がどのように強く働いているかの例を、ここでお示ししています。

 ここにある3つのグラフは、母子手帳を見たことのある方であれば皆さんご存じのものだと思います。左側の2つのグラフが、1歳から18歳までの身長と体重の右肩上がりの増加、そして右は意外に重要なものなのですが、頭の大きさ(頭囲)の成長曲線です。

 よく見ていただくと、3つのグラフそれぞれに7本の線があることにお気づきだと思います。7本の線の真ん中(上からも下からも4番目の線)が平均値です。平均的な身長、平均的な体重、平均的な頭囲ということになります。

 このグラフで一番大事なことは、一番下の一番小さいところのラインです。これは異常だということではなく、正常なお子さんの中の小さいほうのお子さん、具体的には100人お子さんがいたとしたら、身長が前から3番目、あるいは体重が小さいほうから3番目、頭が小さいほうから3番目という意味です。一番上のラインは、大きいほうから3番目ということで、100人のいずれも正常な子どもたちを集めたときの順番のグラフということです。

 ただ、このグラフをパッと見ると、面白い現象なのですが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
西洋哲学史の10人~哲学入門(1)ソクラテス 最初の哲学者
ソクラテス:「フィロソフィア」の意味を問う最初の哲学者
貫成人
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(1)法華経はSFだ!
「法華経はSFだ!」というナラティブの神秘的体験
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(2)神々のささやく世界
「神々のささやく世界」では神々の声が行動を決める
本村凌二
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規