現代の小児科学と最高の子育て
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
努力した分は必ず報われる――「教育」という名の環境の力
現代の小児科学と最高の子育て(4)環境の力と教育効果
高橋孝雄(慶應義塾大学名誉教授(医学部))
遺伝の「変わらぬ力」に対して、環境には「変わる(変える)力」という特徴がある。また、遺伝の「守る力」に対して、環境は「育む力」という特徴もある。ただし環境の力は不確かで流動的なため、追い風としても向かい風としても作用する。子どもに対してはどう作用するのだろう。(全7話中第4話)
時間:8分21秒
収録日:2021年7月14日
追加日:2021年9月25日
≪全文≫

●環境の力が示す3つの特徴


 それでは遺伝の力に続いて、環境の力について皆様と一緒に考えてみたいと思います。

 環境の力の特徴は、すでにお話しした遺伝の力と対比させて考えると、遺伝の「変わらぬ力」に対して「変わる(変える)力」と呼べると思います。そして、遺伝子が「守る力」であるのに対して環境の力のすごいところは「育む力」ではないかと思います。

 そして遺伝の力が「変わらずそこにあるけれども、ばらつきをもっている」ことを強調しましたが、環境の力はまさに「不確かで流動的」であるところで、そこがすごいと思います。

 こういった特徴がございますので、もう皆様よくご存じの通り、環境の力は子どもの成長や発達に、あるいはわれわれ大人の生活にも、よくも悪くも作用するということが知られています。

 ここでは「追い風」と「向かい風」にたとえて、二つの大きな話題についてお話をさせてください。

 まず「追い風」になるいい環境として、教育環境について少しお話をさせていただきたいと思います。またその後で、「向かい風」になる環境、これは世の中にいっぱいあります。

 われわれ人類は、新型コロナウイルス感染症という「コロナ禍」を経験し、多くのことを学んだと思います。その逆風の中で、われわれ大人は何を学んだのか、何を経験したのか。そしてその延長として、われわれ大人は子どもたちに何をプレゼントできるのか。そういったことについて考えていきたいと思います。


●環境が追い風として働く「読み書きの能力」


 まずは追い風である教育の力について、お話しさせてください。「読み書きの能力」というお話です。

 子どもの病気の中に「読み書き障害」という病気があります。これは「努力が足りない」「勉強不足だ」ということではなく、生まれつきの素因によるものだというふうに言われています。すなわち遺伝子の力であらかじめ決められた読み書きの能力が、残念ながら劣っている子どもたちがいるわけです。

 こちらのグラフは、横軸が6歳から16歳まで、すなわち小学生と中学生の子どもたちの年齢、タテ軸には「点数」と書いてありますが、読み書きのテストの点数です。このグラフは実際のデータを...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
学びとは何か、教養とは何か
教養の基本は「世界史」と「古典」
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保