現代の小児科学と最高の子育て
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過度の「負」のストレスは遺伝子に悪影響を及ぼす
現代の小児科学と最高の子育て(2)遺伝子と環境の相互関係
高橋孝雄(慶應義塾大学医学部 名誉教授/新百合ヶ丘総合病院 小児科 名誉院長)
「子どもが育つ」と一口にいっても、そこには人としてのかたちが変化する「成長」と、機能が向上する「発達」という両方の側面がある。そもそもかたちがあってこそ、そこに「機能」は宿るが、出発点となるかたちを設計するのが遺伝子のはたらきだ。一方、環境には、そのはたらきを促進する側面だけでなく、阻害してしまう側面もある。その両面において、ポイントとなるのはストレスである。(全7話中第2話)
時間:10分05秒
収録日:2021年7月14日
追加日:2021年9月11日
≪全文≫

●遺伝子はタンパク質に正しいかたちを与えるための設計図


 さて今回は、遺伝子と環境の相互関係について、より具体的にくわしくお話ししてまいります。

 図の6時の位置に「遺伝子」という言葉があります。この遺伝子について、まずご説明させてください。遺伝子は何をしているのでしょうか。これに正確に答えられる方は、そう多くはいないと思います。遺伝子はアミノ酸を組み合わせてタンパク質をつくる、その設計図であり、その仕事だけをしているのです。

 「人間には2万個ほどの遺伝子がある」といわれていますが、ほとんどすべての遺伝子が、何らかのタンパク質をつくるという役割を果たしています。タンパク質は、脂肪や糖分や、その原料となるアミノ酸と違って、スライドで8時の位置に示したように「かたち」を持っているという特徴があります。

 昨今はいろいろなテレビ番組等で、タンパク質の3D(3次元構造)などをアニメーションで見ることがあります。酵素のはたらきでは「鍵と鍵穴」とか、ウイルスに対する抵抗力としてできる「抗体」がどうやってウイルスを攻撃するかといったイラストも最近では見かけるようになっていると思います。

 これらの説明すべて、タンパク質が「かたち」を持っているということを説明しているのです。裏を返すと、遺伝子というのは、タンパク質に正しいかたちを与えるための設計図である、ということになります。


●タンパク質は異なる「はたらき」を持っている


 ではなぜタンパク質には正しいかたちが必要なのか。それは、図の10時の位置に書いてある通りです。すなわち、それぞれのタンパク質は異なる「はたらき」を持っているから、ということになります。

 酵素というタンパク質は、体の中でいろいろなものを合成したり、分解したりするはたらきを持っています。そのためには、正しいかたちをしている必要があります。また、心臓の筋肉は、動くためのかたちを持っていなければなりません。あるいは神経の細胞は、電気を発生させるために必要な「イオンチャンネル」という大事なかたちを持っているのです。その結果として、分解や合成をするはたらき、縮んだり伸びたりするはたらき、電気を発するというはたらきなどを得ているわけです。

 それらの細胞や臓器のはたらき、ひいては体のはたらきは、すべから...

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