現代の小児科学と最高の子育て
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
なぜ大人が子どもの代弁者であることが最高の子育てなのか
現代の小児科学と最高の子育て(7)小児科医からのメッセージ
高橋孝雄(慶應義塾大学医学部 名誉教授/新百合ヶ丘総合病院 小児科 名誉院長)
「小児科医は子どもの代弁者」だと高橋先生は言う。これは、子どもが自分ではなかなかことばにしづらい苦しみの実態に対し、丁寧に「傾聴」して問題点を探し出し、適切な診断と治療に向けて子どもやその家族を「説得」することを意味している。その中で最も説得が難しいのは「悪魔の証明」である。そして、その延長線上にあるのが子どもにとって大事な「自己肯定感」である。(全7話中第7話)
時間:15分51秒
収録日:2021年7月14日
追加日:2021年10月16日
≪全文≫

●「小児科医は子どもの代弁者」というメッセージ


 一連のお話の最後の締めとして、小児科医としての私からのメッセージをお伝えさせてください。

 スライドのタイトルにもあるように、「小児科医は子どもの代弁者」ということです。このメッセージは、実はアメリカの小児科学会がつくったものと私は理解しています。日本小児科学会もそれを拝借しているのですが、まさに言い得て妙だということで、私はいつもこのお話をさせていただきます。

 話の始まりでは、「小児科医は子どもの代弁者」であることについて、より具体的にお話をさせていただきますが、最終的には、世の中の大人は全ての子どもにとって代弁者であってほしい、というメッセージをお伝えしたいと思っています。

 それではまず、小児科医のお話です。小児科医にとって、あるいは全ての医師にとっていちばん大切なことは、患者さんやそのご家族の言い分を十分傾聴することです。これは言うは易し、そして医師であれば誰でも当たり前だということなのですが、実は大変難しいことです。

 患者さんが困難を抱え、苦痛を帯びて病院に来られているときに、その苦しみの実態が何なのか、患者さん自身が的確に説明できることはまずないですね。どう説明していいのか分からない。あるいは、これは大したことではないと思ってあやふやに答える。場合によっては、例えば虐待の例ではあえて秘密にしておく。

 患者さんがわれわれに本当に言いたいことを伝えているという保証はないのです。


●小児科医のアイデンティティは子どもに耳を傾けることに尽きる


 そういった環境の中で、われわれは患者である小さな子どもたちに傾聴する義務があります。たとえそれが2歳でも3歳でも、場合によっては生まれたての赤ん坊でも、「どうしたの、なぜ泣いているの。何が苦しいの」「お母さんから聞いたけど、どうして急にミルクを飲まなくなったの」、あるいは「頭が痛いっていうけど、君、本当に頭が痛いのかな。歯が痛いってことはないかな」と聴く。

 あるいは学校に行かなくなってしまった中学生に、「君が学校に行かないのは、朝眠いからなのかな。本当にそうなのかな。朝眠いのには、もう一つの原因があるんじゃないかな。お父さんやお母さんには少し部屋を出てもらって、二人で話そうか」。

 そのよ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
デカルトの存在論に学ぶ(1) 「我思う、ゆえに我在り」
「我思う、ゆえに我在り」はデカルトの専売特許ではない
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
現代の小児科学と最高の子育て(1)現代の小児科学の役割
困難の克服と幸せな人生の獲得、それが小児科学の目的
高橋孝雄
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明

人気の講義ランキングTOP10
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(5)サルコペニア・フレイル対策
認知症予防にはどんな食事がいいのか?鍵はビタミンDの充足
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「満洲」から考える日本とアジア(10)戦後の「五族」の運命
「五族協和」の真実と満洲国崩壊後の五族の悲劇…満洲人、朝鮮人、露人、蒙古人、漢人らの戦後悲史を直視せよ
宮脇淳子
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
『源氏物語』ともののあはれ(1)雅な『源氏物語』の再発見
『源氏物語』の謎…なぜ藤壺とのスキャンダルが話のコアに?
板東洋介
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎