現代の小児科学と最高の子育て
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
コロナ禍による3つの悪影響、特に深刻なのは実体験の減少
現代の小児科学と最高の子育て(5)環境の向かい風
高橋孝雄(慶應義塾大学名誉教授(医学部))
無言化・孤立化・実体験の減少をもたらしたコロナ禍。中でも実体験の減少は最も深刻で、子どもたちがさまざまな葛藤に出会いながらも、将来自らを幸せに導くうえで大事な「想像力」や「共感力」を育んでいく機会を奪っているのではないだろうか。コロナ禍に限らず、大人が常に意識すべきは、子どもたちの実体験の機会が減っていないかどうかということである。(全7話中第5話)
時間:8分32秒
収録日:2021年7月14日
追加日:2021年10月2日
≪全文≫

●コロナがもたらした3つの悪影響


 それでは、教育環境についてお話をさせていただいた続きとして、次にネガティブな意味での環境の力・影響について、皆さんと一緒に考えてみたいと思います。

 タイトルにありますように「コロナ禍」、世界的なコロナウイルスの蔓延によってわれわれの社会は大きな打撃を被ったわけですが、その中で私どもが経験し、学んだこともあるはずです。そのように学んだことから、われわれ大人が子どもたちに何をしてあげられるのか。何を学んでほしいのかなどについても考えてみたいと思います。

 ここではコロナ禍を例に挙げていますが、これに限るわけではなく、あらゆる災害やあらゆる負の環境というのは、考え方によっては「いい意味での教訓」になるのではないかというメッセージも、ぜひお伝えしたいと思います。

 コロナ禍は、子どもたちにとってもわれわれ大人にとっても、“Toxic Stress”すなわち過度のストレス、長く続く悪い環境であったことに疑いはないと思います。その具体的な悪影響について、ここでは(1)と決めさせていただきました。

 悪影響という意味で「向かい風」のイラストを入れていますが、まずはこちらの三つの影響ではないかと考えます。すなわち、「喋らなくなる」「独りでいる時間が長くなる」そして「実際に体験してみる機会が減ってしまう」。この三点です。

 実はこれらはコロナ禍を例に挙げていますけれども、インターネット社会における子どもの環境の問題でも、全く同じことが議論されています。インターネット・ゲームに熱中するのはなぜいけないのですか。(やり過ぎると)それは喋らなくなるからです。そうなると、一人で行動するようになりませんか。実際に体験をする機会を減らしていませんか。まったく同じ議論になってくると思います。


●実体験が育む「想像力」の重要性


 この三つの中で「無言になる」「孤立してしまう」は、皆さんがよく実感されていることですし、今日は時間の都合もありますので割愛させていただき、私の最も重要だと思うこと、ぜひ一緒に考えていただきたいと思う「実体験の減少」というポイントについて、お話をさせていただきます。

 そもそも実体験というのは、なぜ必要なのか。なぜ実体験は育ち盛りの子どもに必要なのか。そのことについて、まずご一緒...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
法隆寺は聖徳太子と共にあり(1)無条件の「和」の精神
聖徳太子が提唱した「和」と中国の「和」の大きな違いとは
大野玄妙

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ