岸田内閣「新しい資本主義」を徹底検証
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「新しい資本主義」の重点投資分野は実現可能な国家戦略か
岸田内閣「新しい資本主義」を徹底検証(3)総花的な成長戦略と重点投資分野
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2022年に入り、岸田内閣は、資産所得倍増プラン、科学技術の戦略的支援、スタートアップ企業の育成計画など、さまざまな成長戦略を掲げてきた。一見すると有意義なプランが並んでいるようにも見えるが、果たして重点ポイントはどこにあるのか。(全4話中第3話)
時間:12分08秒
収録日:2022年7月7日
追加日:2022年10月6日
≪全文≫

●総花的に羅列されただけの「成長戦略」


 皆さん、大体お分かりになったと思います。「新しい資本主義」というけれども、アメリカやイギリスにアドバイスするのならいいのですが、日本でやることではありません。日本で分配といっても、実際にやっていることは間違っています。一体私たちはどこへ向かうのかと、国民は非常に心配になるはずです。

 岸田文雄首相はお人柄がいい人ですが、演説をするたびに、どんどん中身が良くなっていっているのか、詳しくなっているのか、とにかく変化しています。

 岸田首相は当初、分配論を強調していましたけれど、分配の原資は成長なのだという議論があちこちから出てきました。特に政界では安倍晋三さんあたりが強く言っているので、成長と分配の好循環を実現するという表現になったのです。

 おそらく岸田首相がこれまで一番まともな趣旨を説明したのは、2022年1月17日の施政方針演説だったと思います。ここで何を言われたかというと、成長は分配の原資だから重要だということなのですが、成長するために何をしようとしているのでしょうか。

 要点は、デジタルを活用した地方の活性化で、そのためには5Gやデータセンターなど、インフラとルールを整備する。マイナンバーカードと運転免許の一体化をする。サプライチェーンを強靭化する。最先端技術の官民研究共同開発を支援する。10兆円ファンドで先端的大学を支援する。今年(2022年)からスタートアップの創出を5カ年計画で行い、戦後第二の創業期を目指す。再教育、副業活用でスキルを向上させる。企業に人的価値の非財務情報の開示を義務づける。公共施設の民間運営方式を促進する。これらのグランドデザインを6月にすると言ったのです。これは1月の段階です。皆さんはどう思われますか。思いつきが並んでいるとしかいえません。

 これは、これまでおっしゃった中で一番まともな成長戦略なのです。私から見ると、総花的に並んでいるのですが、どこに重点があるのかがまったく分かりません。優先順位と、選択と集中を示してもらわないと、戦略がまったく理解できません。


●具体的な方法が見えない政策プラン


 岸田首相は、ロンドンでポリス・ジョンソン首相(編:2022年7月に与党・保守党...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(6)道徳の起源から考えるAIと感情の問題
道徳の起源は理性か感情か?…AI時代に必要な思考の身体性
中島隆博
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二