独立と在野を支える中間団体
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なぜモーツァルトはフリーメーソンに入ったか…その真実は
独立と在野を支える中間団体(4)社団国家とフリーメーソン
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
日本の中世では、地方勢力が強く中央集権が不十分だったため、中間集団は見られなかった。一方、中世ヨーロッパでは中間集団はなくてはならないものとなる。「社団国家」と呼ばれるものだ。もう一つ、国家の保護を受けにくい国際活動をする個人の場合、国際的社団として挙げられるのがフリーメーソンだ。実は、一部で知られているように作曲家モーツァルトもフリーメーソンに入会していた。はたして、どのようなものなのか。中世ヨーロッパにおいて中間集団が果たした役割とその重要性を解説する。(2024年6月8日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第4話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分27秒
収録日:2024年6月8日
追加日:2024年11月8日
≪全文≫

●江戸時代以前は中間団体が誕生する「一つ前の段階」


片山 中間集団的なものが、生きていくためには生活のレベルでも必要となる。

片山 近代中央集権国家の歴史は絶対主義の成立によって基礎づけられるとすれば、それ以前はどうか。

 例えば、日本史を思い出していただいても、荘園や藩、不輸不入の権、高野山なら高野山、比叡山は比叡山で独立したエリアを持っている――これらは中間集団なのかということを考えると、必ずしもそのような言い方をしません。むしろ封建制で、一つの権力が確立していない。

 日本の場合、律令体制、中央集権国家というものが、中国の律令制度を真似て、奈良時代から平安時代にかけてできたといえばできたのだけれど、骨抜きになっていった。藤原氏の荘園、〇〇氏の荘園、上皇の荘園、高野山なら高野山、比叡山なら比叡山といった寺社仏閣で持っている領地は、朝廷の役人が立ち入ることはできない。そういったところは限りなく“私”です。“私”の領地を守るために、「武士」が発達するわけです。

 武家が荘園を守り、「うちに入ってくるなよ」「中央の役人であっても、ここは自治が認められているのだから、入ってくるなよ。中を覗くことさえできないのだぞ」という具合になって、領地が分割されている。

 こうすると、中間集団というものではなくて、一つひとつが別個の権力を持っているわけです。すると、藩や荘園は(藩と荘園を一緒にして語るのはよくないのですが)中間集団に当てはまらない。先ほど言った中間集団とは、中央政府や国家がきちんと在ることがイメージとしてあるので、その前段階の中央政府がきちんと機能していない場合は当てはまらない。

 あるいは、日本または古代中国でも、中央集権的なものができては壊れていくという歴史を何度もたどっていくわけで、徳川将軍の命令には従うけれど、だったら藩は中間集団なのかというと、たしかに将軍と契約する(武家諸法度的なもので契約する)わけですが、例えば江戸幕府は各藩に対して徴税権は持っていない。警察権も軍事権も持っていない。それぞれの藩で勝手に行っているわけです。

 だから、ある程度は中央政府的な役割を幕府が果たしているのだけれど、中央政府がきちんとあって、国家が一枚岩できちんとあって、そこに個人がいて、中間に荘園や藩が入るかと...

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