独立と在野を支える中間団体
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜモーツァルトはフリーメーソンに入ったか…その真実は
独立と在野を支える中間団体(4)社団国家とフリーメーソン
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
日本の中世では、地方勢力が強く中央集権が不十分だったため、中間集団は見られなかった。一方、中世ヨーロッパでは中間集団はなくてはならないものとなる。「社団国家」と呼ばれるものだ。もう一つ、国家の保護を受けにくい国際活動をする個人の場合、国際的社団として挙げられるのがフリーメーソンだ。実は、一部で知られているように作曲家モーツァルトもフリーメーソンに入会していた。はたして、どのようなものなのか。中世ヨーロッパにおいて中間集団が果たした役割とその重要性を解説する。(2024年6月8日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第4話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分27秒
収録日:2024年6月8日
追加日:2024年11月8日
≪全文≫

●江戸時代以前は中間団体が誕生する「一つ前の段階」


片山 中間集団的なものが、生きていくためには生活のレベルでも必要となる。

片山 近代中央集権国家の歴史は絶対主義の成立によって基礎づけられるとすれば、それ以前はどうか。

 例えば、日本史を思い出していただいても、荘園や藩、不輸不入の権、高野山なら高野山、比叡山は比叡山で独立したエリアを持っている――これらは中間集団なのかということを考えると、必ずしもそのような言い方をしません。むしろ封建制で、一つの権力が確立していない。

 日本の場合、律令体制、中央集権国家というものが、中国の律令制度を真似て、奈良時代から平安時代にかけてできたといえばできたのだけれど、骨抜きになっていった。藤原氏の荘園、〇〇氏の荘園、上皇の荘園、高野山なら高野山、比叡山なら比叡山といった寺社仏閣で持っている領地は、朝廷の役人が立ち入ることはできない。そういったところは限りなく“私”です。“私”の領地を守るために、「武士」が発達するわけです。

 武家が荘園を守り、「うちに入ってくるなよ」「中央の役人であっても、ここは自治が認められているのだから、入ってくるなよ。中を覗くことさえできないのだぞ」という具合になって、領地が分割されている。

 こうすると、中間集団というものではなくて、一つひとつが別個の権力を持っているわけです。すると、藩や荘園は(藩と荘園を一緒にして語るのはよくないのですが)中間集団に当てはまらない。先ほど言った中間集団とは、中央政府や国家がきちんと在ることがイメージとしてあるので、その前段階の中央政府がきちんと機能していない場合は当てはまらない。

 あるいは、日本または古代中国でも、中央集権的なものができては壊れていくという歴史を何度もたどっていくわけで、徳川将軍の命令には従うけれど、だったら藩は中間集団なのかというと、たしかに将軍と契約する(武家諸法度的なもので契約する)わけですが、例えば江戸幕府は各藩に対して徴税権は持っていない。警察権も軍事権も持っていない。それぞれの藩で勝手に行っているわけです。

 だから、ある程度は中央政府的な役割を幕府が果たしているのだけれど、中央政府がきちんとあって、国家が一枚岩できちんとあって、そこに個人がいて、中間に荘園や藩が入るかと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
「中華民族の偉大な復興」と中国外交(1)外交姿勢・前編
四字熟語で見る中国外交の変化
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
宗教で読み解く世界(1)キリスト教の世界
キリスト教とは?…他の一神教との違いは神様と法律の関係
橋爪大三郎
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政