独立と在野を支える中間団体
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
三公社五現業の解体が象徴的…80年代以降壊された中間集団
独立と在野を支える中間団体(7)中間団体が失われていく時代
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
近代になり古い中間集団を壊して新しい中間集団を形成してきた日本だが、再び中間集団が失われつつある。なぜ中間団体の力は弱まり、またそれが壊されていったのか。分かりやすい例として中曽根康弘氏が推進した三公社五現業の解体を挙げる片山氏。1980年代以降の流れを読み解きつつ、われわれが直面している現状について考える。(2024年6月8日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全8話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分17秒
収録日:2024年6月8日
追加日:2024年11月29日
≪全文≫

●中間集団によって、より民意を反映させられる


川上 ただ、そういった中間集団、中間組織が今、非常に弱くなってきているということですね。

片山 はい。そうなのです。福澤諭吉は、「明治政府のやり方をもっと民主主義的に変えていくためには、皆がお金持ちになって経済活動や政治活動を行うことによって国を変えることができるから、お金をたくさん持っている者同士がコミュニケーションしていろいろな事業をやったほうが、バラバラに行うよりも効率がいい。だから三田会の組織を使って国を変えていこう」ということも考えていました。こういった三田会のような例がひとつあります。

 他にいろいろと似たものがあります。それは、企業連合、経団連でもなんでもいい。もちろん労働組合とか。いろいろな中間集団的な組織が国に張り巡らされ、お互いが争ったりする中で、個人対国家権力の中の中間でお互いを調整するといった形で世の中を円滑にする。

 日本の近代ではうまくいかないときもありましたが、第二次世界大戦後は比較的、うまく回っていました。というのは、宗教団体があり、農協があり、たくさんの第二次産業、第三次産業の労働組合があり、漁協があり、学校の同窓会もあり、経団連的○○同友会などたくさんの経済組織があり、それからもちろん政治に関していえば政党的なものがあった。

 いろいろな組み合わせでしのぎを削って対立するものもあるけれど、そういった中で、最大多数の人の意志が反映された。単に選挙においてだけではありません。「圧力団体」などという言い方も、中間団体に関してはすることがあります。政治に対して働きかけますから。それが悪いという論調で語られることもよくありますが、一人ひとりが言っていては採り上げられないことを、団体をつくって圧力をかけるのは民主主義の正しい姿です。だから全く問題ない。

 ただ、その圧力のかけ方が暴力的だったりお金任せだったりすると、問題になる。あとはあまりにも公益性を考えないで、自分たちだけが得をすればいいということで圧力をかけると、やはり「イヤな団体だ」「反社会的だ」となってしまう。そうでなければ、皆が中間団体をつくって意見をどんどん言う。一人ひとりが言ったり、一票の投票権でただ政治家を選んだりしているのでは反映しないものを、いろいろな組織や運動団体をつくって行うのは当たり前なのです。


...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦