労働基準法の精神
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国際労働法制定の中心的役割を果たすILO
労働基準法の精神(2)国際労働機関ILOの理念
古賀伸明(日本労働組合総連合会(連合)第6代会長/公益社団法人国際経済労働研究所 会長)
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長の古賀伸明氏が日本の労働法について解説するシリーズレクチャー。今回は、国際労働法制定の中心的役割を果たす国連の専門機関・国際労働機関ILOについて論じる。全ての労働者の労働条件、雇用機会における差別の根絶と地位向上を任務の中心に据えるILOだが、その活動のベースとなるのは1944年に採択されたフィラデルフィア宣言だ。(全6話中第2話)
時間:7分42秒
収録日:2018年6月25日
追加日:2018年9月11日
≪全文≫

●国際労働機関ILOの組織と任務


 労働法には、国内のみならず国際的にも労働条件の改善や労働者保護に関する国際労働法があります。国際労働法制定の中心的役割を果たすのが、国際連合・国連最初の専門機関 である国際労働機関ILO (International Labour Organization)です。

 ILO の任務は、勧告と国際労働条約の草案の作成であり、国際労働法は条約の形で存在し、各国家によって受諾・批准されることで効力を発揮するようになります。全ての労働者の労働条件、雇用機会における差別の根絶と生活水準向上のために、組織発足以降180を超える国際労働条約を採択しています。

 本部はスイスのジュネーヴにあり、加盟国は187カ国(2016年2月現在)です。組織は、総会・理事会・国際労働事務局などの本部組織の他に40以上の国に地域総局と現地事務所を設けています。また、ILO は社会対話の推進から国際連合の機関の中で唯一、加盟国の政府・労働者・使用者の三者が同じ役割と権限を持って政策を決定する、いわゆる三者構成主義の意思決定機関です。


●活動のベースとなるフィラデルフィア宣言


 ILOは1919年第一次世界大戦終了後、労働問題が大きな政治課題となり、国際的に協調して労働者の権利を保護すべきと考えられ、ベルサイユ条約の中に規約が記載されました。ILO憲章の前文には「普遍的で持続的な平和は社会正義によってのみもたらされる」と明記されています。当初の参加国は43カ国でした。

 第二次世界大戦中、活動は縮小していましたが、1944年、アメリカのフィラデルフィアで総会を開催し、活動を再開しました。その総会で採択されたのが ILO の活動のベースとなっているフィラデルフィア宣言です。その宣言のうち、三つを紹介したいと思います。

 一つ目は、「労働は商品ではない」という宣言です。人が働くということは労働力の提供だけではない、生身の人間の営みである。すなわち、 労働者は労働力A 労働力B、労働力Cではなく、Aさん・Bさん・Cさんという、これまで育った背景も現在の環境も異なる人間であり、労働とはその人間の営みということです。 二つ目は「表現及び結社の自由は、不断の進歩のために欠くことができない」という宣言です。 そして、三つ目は「一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である」という宣言です。一部の貧困を見過ごしていると社会全体がおかしくなるということです。...

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