労働基準法の精神
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
労働時間、男女雇用機会均等、多様化…日本の労働法の課題
労働基準法の精神(4)労働法の具体的な課題
古賀伸明(日本労働組合総連合会(連合)第6代会長/公益社団法人国際経済労働研究所 会長)
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長の古賀伸明氏が労働法について解説するシリーズレクチャー。今回は現状の労働法に関する具体的な課題について解説する。古賀氏は課題として、労働時間、男女雇用機会均等、雇用形態の多様化、働き方改革を指摘する。中でも長い間、問題視されてきたのは労働時間だ。(全6話中第4話)
時間:15分47秒
収録日:2018年6月25日
追加日:2018年9月18日
≪全文≫

●労働時間短縮への取り組み


 次に、具体的ないくつかの課題についてお話しします。

 一つは、労働時間についてです。1947年に制定された労働基準法は、一部を除き原則として8時間労働制を導入しました。しかし、使用者を中心に、日本経済の自立を妨げるとの批判もあり、制定後は労働基準法の保護水準を引き下げるべく規制緩和の攻防が行われていました。その後、先進諸国では 1950年代から労働時間短縮への関心が高まり、日本でも1970年代から週休2日制をはじめとする取り組みが進められたのです。

 そして、転機となったのは1986年、日本の経済構造を国際協調型に変更することを目的とした、元日銀総裁の前川春雄氏を座長とする「国際協調のための経済構造調整研究会報告書」、いわゆる「前川レポート」により、労働時間短縮問題は労働政策の枠内から国政の重要課題の一つに位置付けられるに至りました。これにより、法定労働時間の段階的短縮が行われていくことになったのです。

 週48時間労働制を週40時間労働制として、1987年の改正を皮切りに、段階的短縮の第一歩を踏み出しました。その後も漸進的に行われた週 40 時間労働時間制への移行は、1997年4月から猶予事業なしに完全に実施されることになりました。この週48時間労働制から週40時間労働制への移行は、わが国が労働者の働き方を他の先進国並みにする見直しとした歴史的なものです。これにより、総実労働時間の短縮が実現していきました。なお、この1987年の改正では同時に変形労働時間制やフレックスタイム制などの労働時間弾力化政策も打ち出し、さらには裁量労働制も導入されました。


●課題の多い労働時間短縮問題と高度プロフェッショナル制度


 しかしその後、日本はバブル経済、バブル崩壊と異常な経済・社会情勢となり、労働時間短縮の意識は希薄化し、現状でも一般労働者の総実労働時間は一向に減らない状態が続き、年間総実労働時間はこの数十年、2000時間をかなり超えています。加えて、過労死が政府認定だけでも毎年100名を超える実態は、先進国の中では特異な現象です。「KAROSHI」は、そのまま欧米では通じる単語となっています。

 このような状況から、労働時間短縮の法政策の必要性は高まる一方であり、 現在国会で議論されている労働時間の上限規制は速やかに導入すべきです。 そして、勤務間インターバル制度導入も急ぐべきです...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保

人気の講義ランキングTOP10
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(9)AI時代の人間と科学の関係
科学は嫌われる!? なぜ「物語」のほうが重要視されるのか
長谷川眞理子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ