●“深い意味での楽しく、エンジョイ”がキーワード
本シリーズ最後の三つ目のパートは、私の拙い経験から「働き・暮らし・生きる基本」について、いくつかお話をしたいと思います。
何といっても一つ目のキーワードは「深い意味での楽しく、エンジョイ」ということではないかと私は思います。私たちはもっと楽しんだりエンジョイしていいのです。「楽しい」や「エンジョイ」は、当然ながら苦しさを乗り越えて到達する状態です。しかし、今の社会は何かふさぎこんだ、うつむき加減の社会になっています。もっと自由闊達さや感動、興奮、驚き、喜怒哀楽を、いろいろな場面で出してもいいのではないか。そういうことも含めて、私はその基本が“深い意味での楽しく、エンジョイ”にあると思います。
●「何のために」「何の目的で」を常に振り返る
二つ目は、「何のために」「何の目的で」ということを、私たちは常に一定期間の中で振り返ってみる必要があるということです。
これは物事の基本であろうと思いますが、一生懸命にやればやるほど目的と手段が逆転しているような場面に遭遇したことが、皆さんおありだろうと思うのです。
「このことは、何のためにやっているのか」「何の目的でやっているのか」を常に振り返る。そして、発想のウィングを広げて、あらゆる角度からその目的に達成するための手法を考えてみる。そういうことが必要ではないか、と思うのです。
●「覚悟と情熱」で「信頼と共感」を築いていく
三つ目は、大げさにいえば私が今まで生きてきた状況を4つの熟語で表せといわれたときの答えです。それは「覚悟と情熱」「信頼と共感」、この4つで表せるのではないかと思います。
私は、40歳過ぎの時に9万数千名の組織のリーダーになりました。非常に緊張感があり、本当の意味で自分にそのリーダーができるのかということに葛藤した時期でした。当時よく使っていた言葉は「覚悟」「決断」「挑戦」などです。
しかし、自分が覚悟し、決断して、挑戦しても、人や物はなかなか動きません。もっといえば、正しいことや理屈だけで人が付いてきてくれると思うのは間違いだと私は断言できます。そこにはやはり信頼と共感が必要です。信頼と共感があって初めて人は動き、物事は大きく動いていくのです。
価値観がまったく異なっている人からでも、信頼と共感を得ることは重要だし、...