●能力ある女性を活用できない日本。その構造的原因は?
では、女性の活用に行きましょう。
日本では女性が活用されていないと諸外国が言っています。労働力参加率は、アメリカが62パーセントで日本は61パーセント、ヨーロッパは65~66パーセントですから、結構いい方で、それ自体は問題ありません。ただ、日本の女性は経営者になっている人が少ないです。会社でも幹部女性が少ない。役員会に女性が座っている会社など、数えるほどしかないですから。
要するに、能力のある女性が能力を生かせないのが日本の労働市場なのです。それは、どこに大きな構造的原因があるかというと、「M字型就業サイクル」です。日本の女性は非常に就職率が高く、学校を出るとすぐに就職します。そして、20代は一生懸命働く。結婚する、子どもができる。社会環境が非常に悪く、会社の環境も悪いので辞める。しかし、辞めるともう次がないのです。後はコンビニで働くとか、そういうことになるので、キャリアが継続・発展できない。だから、日本の女性の能力は生かされていないというのです。
●「M字型サイクル」には、子育て支援施設設置が効く
さて、IMFにクリスティーヌ・ラガルドさんという専務理事がいて、人気を集めています。シンクロナイズドスイミングの選手だったそうで、美人です。彼女は「日本の女性に男性並みの雇用機会が提供されたら、日本のGDPはあと9パーセントは伸びる」と言いました。
これは本当だと思います。数の問題ではなく、能力を生かせる状況がないのです。能力が一番生かしにくいのは、「M字型サイクル」によって30代で1回仕事を辞めなければいけないからです。では、辞めなくて済むようにするにはどうしたらいいかというと、子育て支援施設をつくればよいのです。
子育て支援施設はどうなっているかというと、全国に数万件あります。そのほとんどが公的施設か、あるいは社会福祉法人です。社会福祉法人とは憲法89条で認められた、民間の団体です。
●社会福祉法人とはどういう団体か?
憲法89条にはこう書いてあります。
「宗教と博愛と教育の3分野においては、国の支配に属さない民間に公的資金を渡してはいけない」。
「博愛」とは、「福祉」のことです。民間企業は国の支配に属しませんから、補助金はもらえません。ところが、「国の支配に属する民間をつくろう」という賢...
(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-02-01.html)より