アベノミクスの成果とリスク
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
第三の矢「成長戦略」がアベノミクス成功の鍵
アベノミクスの成果とリスク(3)第三の矢:成長戦略と構造改革
政治と経済
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
海外からも注目されるアベノミクスへの共通した批判とは?アベノミクスに伏在する大きなリスクについて語る。(島田塾第109回勉強会 島田晴雄氏講演『日本経済は果たして、どこまで成長出来るのか』より:全14話中3話)
時間:6分49秒
収録日:2014年1月14日
追加日:2014年2月24日
カテゴリー:

●アベノミクス成功の鍵


 本番は第三の矢です。成長戦略ですね。アベノミクスが成功するかしないかは、ほとんど成長してくれれば成功するわけですよね。なぜかというと、成長すると税収が増えて、財政再建が可能になります。それから消費税の増税も可能になって、財政規律を日本が持っているんだ、ということを世界に語れるようになる。成長すると雇用が増えます。所得が増えて消費が上がります。それから社会保障がとても難しいのですが、成長すると社会保障の改善のための資源をつぎ込むことができます。このように成長すると一石五鳥くらいいいことが出てくるわけです。


●海外の批判と提言


 実はアベノミクスが華々しくスタートしてから、海外がものすごく(日本を)よく見ています。私はここ1年間でずいぶん英語力が向上しました。なぜかというと若者の塾も作ったものですから。彼らの数倍フィナンシャルタイムズなんか読まなくてはいけなくて、毎日読んでいるんですね。本当にフィナンシャルタイムズにトップ記事がたくさん日本のことが出るようになったし、それが毎日のように出ているんですね。こんな時代はなかったです。おそらくこんなに世界に注目を浴びているのは50年ぶりくらいですかね。それだけアベノミクスというのはインパクトがある。

 彼らは何を言っているかというと、いくつか共通のロジックを言っています。一つは、第一の矢は必要だったと。あれくらいのことをしないと日本はもう膠着状態でかわらないので、必要だと。ただ、あの結果はものすごいリスクにつながる可能性もあるので、そこのところはきちんと対応を考えているのか、という議論が多いですね。

 それからもっと根本的には、日本が本当に成長したいと思うのであれば、消費者の所得への資源配分が少なすぎる。いいかえると効率の悪い企業部門の投資に過大な資源が注がれているのではないかと。企業部門は220兆円。GDPの半分近くもキャッシュをため込んでいます。それからゾンビ企業もあります。保護をうけています。日本の企業は資本効率がものすごく低いです。つまり、そういうところへお金を注ぎこんで、勤労者の所得をちびっていると、こんなことで成長するわけがないだろう、というのがフィナンシャルタイムズはじめ、諸外国の議論ですね。

 そのうえで消費税を上げる、法人税を下げると言っているんだから逆行じゃないかと。ただ、こ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
多数派が多数でなくなるとき
悩める多数派…なぜ「多数は少数の集まり」と考えるべきか
曽根泰教
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮

人気の講義ランキングTOP10
未来を知るための宇宙開発の歴史(14)宇宙開発は未来をどう変えるか
『2001年宇宙の旅』が現実になる!?カギは宇宙医学
川口淳一郎
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
クーデターの条件~台湾を事例に考える(6)クーデターは「ラストリゾート」か
中国でクーデターは起こるのか?その可能性と時期を問う
上杉勇司
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
【入門】日本仏教の名僧・名著~総論(1)名僧の原著に触れる意味
「文は人なり」――原文を読んで名僧の思想の息吹に触れる
賴住光子
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
編集部ラジオ2025(25)クーデターで考える「政治の要点」
台湾クーデター・シミュレーション…「世直し」への条件
テンミニッツ・アカデミー編集部
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子