激動する世界情勢と日本
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国民が総活躍し、地方が創生されるのは絵空事なのか
激動する世界情勢と日本(9)現代日本の構造的難題
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
「一億総活躍」など、参院選に向けた選挙対策にすぎない。千葉商科大学学長・島田晴雄氏はそう喝破する。日本が直面している最大の問題は、少子高齢化を伴う人口減少だ。これが進めば成長は鈍化し、社会保障も行き詰まる。地方創生も、あまり実効性があるとは思えない。日本の構造的問題を踏まえ、島田氏が安倍政権に物申す。(2016年1月26日開催島田塾第131回勉強会島田晴雄会長講演「年頭所感 激動の世界経済と日本」より、全10話中第9話)
時間:7分25秒
収録日:2016年1月26日
追加日:2016年5月19日
≪全文≫

●日本最大の問題は人口減少と高齢化


 結局アベノミクスは、クイック・フィックス(応急処置)で、短期でやっていると思います。長い間続いたデフレをインフレにしてみせるということでスタートし、最初の1年はうまくいくかなと思ったのですが、結局うまくいきませんでした。

 さらに大きな問題が控えています。日本が直面している最大の問題は、人口減少です。経済成長率というのは、人口、すなわち労働力の増加率と1人当たり生産性の増加率を足したものなのです。だから『ALWAYS 3丁目の夕日』の時代に、経済成長率10パーセントが可能だったのは、大規模生産したことによる生産性上昇が8パーセントあり、人口が毎年2パーセント増えたからです。足せば10パーセントになったのです。

 今はどうかというと、産業がサービス化していますから、専門家がかなり積極的な見立てで計算すれば、生産性はネット産業で1.5パーセントほど伸びるかもしれないと言っています。ただ、労働力は毎年0.7パーセントずつ減っています。だから、引き算をしなければいけません。そうすると、かなりの楽観シナリオにしても、ネットの期待成長率、長期潜在成長率は0.5~0.8パーセントです。

 前回お話しした財政再建では、今後3パーセントを維持するように経済が成長しても、財政再建は果たせないことが明らかになっています。この状況で行くと、アベノミクスは駄目になるのではないか、ということです。

 それから深刻なのは、高齢化です。高齢化の社会的費用といって、介護とか医療とか、ものすごく社会的費用がかかるのです。国民負担率というものがありますが、高齢化比率が約25パーセントで、国民負担率は約40パーセントです。税負担率がおよそ20パーセント、社会保障の負担率もおよそ20パーセントです。ところが、2050年には高齢化率が約40パーセントになるということですから、そのときに今の制度を平行移動させると、国民負担率は約70~73パーセントになるということです。そうすると、年収500万円のご家庭の場合、可処分所得は135万円に満たないということで、これでは持続可能性がありません。唯一、持続可能性としてあり得るのは、次の世代にその負担を負わせることで、そうすればその世代はなんとかなります。次の世代というのは、われわれの孫の世代ですが、その結果、次の...

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