2050年の世界を考える―質疑応答
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「どうなるか」より「そのためにどのような努力をするか」
2050年の世界を考える―質疑応答(3)2050年の雇用問題と経済格差問題
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
2014年8月3日開催「プラチナ未来人財育成塾@会津」におけるプラチナ構想ネットワーク会長・小宮山宏氏講演「2050年の世界を考える」を収録。次の世代を担う中学生たちに向けて、小宮山氏が熱く語りかける。(全17話中第16話目)
時間:7分30秒
収録日:2014年8月3日
追加日:2014年10月10日
≪全文≫

●新たなジョブをつくれなかった国は衰える。


―― さまざまなことが効率的になっていく2050年には、雇用は拡大していると思いますか、それとも縮小していると思いますか? それから、人口は今後、減少していくと考えられていますが、貧富の差、経済格差は拡大していくと思いますか、縮小していくと思いますか?

小宮山 君の質問の中身は、ものすごく大事なポイントです。「どうなると思うか」というよりは、むしろ「そのためにどのような努力をするか」を考えるべきかもしれません。極論すると、昔は100人が農業をしていたとすると、今は100人に1人、もっと正確に言うと200人に1人、農業をすればよい世の中です。それはつまり、農業だけしか仕事がなかったら、99人がジョブを失うということでもあります。君の質問はそのような意味で本当に的を射ています。雇用の問題を放っておいたら大変です。

 次にものづくりの時代が来ました。だんだんと工業が発達してきて、一時は工業が雇用をつくる世の中になりましたが、それもどんどん減ってきています。企業や社会は、100台の自動車を今まで10人でつくっていた仕組みを、何とか5人でつくれるようにしようとします。これが経済でいう「生産性を上げる」ということです。そうすると結局雇用が減ってきて、今では日本でも製造業の雇用が20パーセントを割りました。では、残りの8割は失業しているかというと、そうではありません。サービス業をやっています。

 「雇用をどうするか」は、おそらく僕たちが一番考えていることです。簡単ではありません。例えば、未来学者などと話すと、今年生まれた人、君たちよりも10数歳下の人の3分の2は、今は存在しない職業に就くだろう、と言われています。

 これからなぜ雇用が重要かというと、雇用がお金だけに関係するわけではないからです。最初に君たちへの歓迎の言葉の中で、「人間は社会的動物だから、人と話してください」と言いましたけれども、雇用は、まさに普通の人間が社会と接点を持つときに、誰でもできる一番良い方法なのです。

 器用な人はNPOを立ち上げたり、社会との接点をいろいろとつくっていけるかもしれないけれど、僕たち全員がそんなことをできるわけではありません。雇用、ジョブを持つことが社会的接点をつくる一番良い方法ですから、何とか新たな雇用をつくっていく必要が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保