労働基準法の精神
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生活の糧を得るだけではない「働くこと」の意味
労働基準法の精神(6)働く人にとって必要な5つの橋
古賀伸明(日本労働組合総連合会(連合)第6代会長/公益社団法人国際経済労働研究所 会長)
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長の古賀伸明氏が労働法について解説する、シリーズレクチャー最終話。「働く」とは生活の糧を得る手段だけでなく、人間らしい社会的営みを意味する。その営みを健全に維持していくためには、5つの橋を架ける必要があると古賀氏は説く。(全6話中第6話)
時間:8分06秒
収録日:2018年6月25日
追加日:2018年9月25日
≪全文≫

●「生活の糧」以上に豊かな働くことの意味


 労働基準法を中心にさまざまなことをお話ししてきましたが、最後に、「働くこと」そのものについて考えてみたいと思います。

 働く人一人一人にとって、働くことの持つ意味は、それぞれに異なると思います。働くことは当然、私たちにとって生活の糧を得るための手段です。多くの人にとって、それが一番大切なことだと思いますが、私はそれだけではなく、働くことは 一人一人が働くことを通じて「何のために生きるのか」という問いの答えを探す道のり、言い換えれば生きている証を社会に刻むことだと思います。そして、誰もが働く中で、例えば、仕事のスキルや組織の中の役割、社会のルールなど、多くのことを学び、これらを通して社会を担う一員に成長して、次世代に多くのことをつないでいく営みだと思います。

 また、働くことは人と人が交わりつながる人間的行動であり、人と人がつながればその職場と社会がつながり、そのことで社会的課題を解決し、新たな価値を生み出していく営みだと思います。そのつながりをつくる、いわば橋を架ける人(Bridge Builder)が私たち一人一人なのです。そのことが個人の成長や自己実現を促し、社会の持続可能性を高める原動力になります。さらにいえば、働くことは、さまざまな事情によって、たとえ働くことに多くの困難を抱えたときでも、尊厳を持って社会の中で自立して行けるよう、お互いに支え合う営みをも含むものではないでしょうか。


●働く人にとって必要な5つの橋


 加えて、働く人にとって職場は単なる仕事場ではなく、自分の存在を確認できる「拠り所」であり「居場所」でありたいものです。そのためには、働くことにつながる5つの橋を架ける必要があります。

 まず、教育と働くことをつなげる橋です。なんびとも平等に教育が受けられ、その教育から働くことへの円滑な移行を支援し、また、働いてからも再び教育が受けられ、より付加価値の高い仕事に就くようにします。

 二つ目は、地域と家庭との橋です。結婚や出産、または介護などがあっても、働くことを続けられる、あるいは働くことを中断しても再びスムーズに働くことに戻ってこられるようにするための橋です。

 三つ目は、失業との橋です。失業してもセーフティネットが完備されていて、働く意思があれば速やかに労働市場に帰ってこられる仕組みが確立...

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