労働基準法の精神
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
国際労働法制定の中心的役割を果たすILO
第2話へ進む
労働三法と労働組合…GHQの五大改革指令と労働者の保護
労働基準法の精神(1)労働三法成立の背景と経緯
古賀伸明(日本労働組合総連合会(連合)第6代会長/公益社団法人国際経済労働研究所 会長)
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長の古賀伸明氏が日本の労働法について解説するシリーズレクチャー。今回は労働三法を中心にその歴史と制定の背景を論じる。労働者が使用者と対等・平等な関係を維持するのに必要な方法として、労働法、労働組合がある。日本の基本的な労働法は、第二次世界大戦を契機に制定、整備されてきた。(全6話中第1話)
時間:9分57秒
収録日:2018年6月25日
追加日:2018年9月10日
≪全文≫

●雇用契約の原則は均等・平等


 本日は労働法、中でも労働基準法を中心に、働く現場の実態や課題、そして、これからの方向性なども含めながらお話しします。

 働くためには、現実に私たちは経営者に使用されて働くことになります。このように人が使用されて働くことが雇用という概念であり、雇用は法制度の下では契約関係と位置付けられます。したがって、雇用は契約であり、対等・平等という契約の原則が雇用関係の基本となるものです。

 しかし、実際には雇う側と雇われる側には、契約内容について交渉する力に格段の差があります。過去には、日本も含めて現在先進国といわれている国でも、低賃金・長時間労働という重労働が法的に正当化されていました。いわゆる貯蓄をしておくことができない私たちの労働力と大きな経済的格差がある状態、また法人・組織と一人の個人との間では、その契約内容が平等な立場になることは極めて困難なものとなります。


●雇用契約不均衡是正のための二つの方法


 したがって、このような雇用契約の不均衡を克服するために、先進国では二つの方法が採用されてきました。一つは国による保護です。具体的には、これからお話しする労働法などの法律を作って保護することです。二つ目は労働組合です。一人の個人としてではなく、労働側が団結することによって対等な契約交渉が行われる状態をつくることです。

では労働法から話を始めましょう。

 労働法とは、労働関係および労働者の地位の保護・向上を規整する法の総称です。すなわち、働くことに関するたくさんの法律をひとまとめにして「労働法」と呼んでいます。日本の労働法の本格的な形成は、第二次世界大戦後に始まり、労働三法を中心に独自の法分野として確立されてきました。その後は、主として裁判所の判例法理などを取り込んで、労働法の体系を整備していったのです。


●GHQの民主化政策を背景に制定された労働組合法


 日本において、労働関係の代表的な法律である、労働組合法・労働関係調整法・労働基準法を「労働三法」と呼んでいます。

 労働組合法は、日本国憲法施行(1947年5月3日)より早い1945年に制定され、1949年に改正されました。憲法よりも早く制定されたのは、労働組合結成の促進がアメリカ占領軍の民主化政策の一つであったからだと思います。

 1945年8月15日に終戦となり、日本は連合国に占...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
組織改革の要諦~活性化と人材活用(1)準備、スピード、タイミング
組織改革は最初に全体像と将来像を示すのが重要
秋池玲子
「発想力」の技法を学ぶ(1)発見と探究(前編)
“なぜ”を繰り返せ!『発想力の全技法』に学ぶ原因探究法
三谷宏治
イーロン・マスクの成功哲学(1)マスクが「世界一」になるまで
イーロン・マスクは何がすごい?生い立ちと経歴
桑原晃弥
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
真理は平凡の中にある
感動した言葉は野球部監督の「あいさつは野球より難しい」
上甲晃

人気の講義ランキングTOP10
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(2)開国の是非と将軍継嗣問題
「尊王攘夷か佐幕か」…天皇絶対主義に結びつく厄介な問題
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
「ホメロス叙事詩」を読むために(5)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
トランプ政権の極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
老子の神髄(7)『老子道徳経』「去用第四十」
緊張や怒りをコントロールするには?老子に学ぶ精神と肉体の関係
田口佳史