徳川将軍と江戸幕府~家慶と烈公斉昭
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なぜ将軍家慶は忌み嫌っていた斉昭の子をかわいがったのか
徳川将軍と江戸幕府~家慶と烈公斉昭(3)家慶と斉昭の歪な関係性
優秀な政治家だと思われた水戸の徳川斉昭を、徳川家慶は幕府から外す決断をする。厳しい倹約政策を行いすぎた斉昭に圧力がかかったわけだが、斉昭が引退を迫られたのはそれだけが理由ではなかった。家慶と斉昭の間にどのような軋轢があったのだろうか。一方で家慶は、斉昭の子・慶喜を重宝することになるのだが、やがてこれが家慶の子・家定にも影響をもたすことになるのだった。(全4話中3話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:14分41秒
収録日:2021年3月8日
追加日:2023年10月17日
≪全文≫

●厳しい倹約政策のせい!? 圧力がかかって幕府から外された斉昭


―― 徳川斉昭が44歳の時に、(幕府が)バサッと斉昭を外した。これはたいしたものですよね。

山内 それはなぜだったのか。いくつか理由はあるけれども、徳川家慶本人からすると、やはり斉昭が煙たいといえば煙たいのです。それから、改革をやっていく上で水野忠邦も斉昭を煙たがった。斉昭も同じようなことを行っていて、基本的には倹約政策だったのですが…。

 それから、この考え方は幕末にかなり強まるのだけれども、例えば徳川家康を東照大権現とする思想は本来神道であって、神道一道でやるべきはずのものなのに、天台宗の天海大僧正が食い込んできて、天台宗と神道とを混淆させた形で行うということで、東照大権現の存在を歪めたのです。

 それから、江戸時代に日本の信仰や宗教をおかしくしたのは仏教だったのです。実際、江戸時代を通して、水野の「天保の改革」もすごいけれども、取り締まりをいろいろと行います。その取り締まりは、芝居をとにかく徹底して叩く。歌舞伎も叩く。それから、今でいうところの出版統制も行ったりする。同時に、宗教信仰にも厳しい。

 あとは風俗です。合法化された吉原以外の場所は「岡場所」と呼び、隠し売女(隠れて色を売る)がいました。これは風俗を損ない、かつ勤労の成果を蝕んでいくということで禁止していく。

 もう1つ、忘れてはいけないのは、仏教に対する目が厳しくなってくることです。何を行うかというと、お寺の住職の姦通――姦通とはこの場合、坊主という清僧の身でありながら女性と通じること――はけしからんと、寺社奉行がときどき摘発するのです。これを水野の時代に大規模に行っています。同時代で多く摘発されるのは、なぜかは興味深いのですが、日蓮宗です。他の宗派ももちろんあります。これをもっと徹底して行ったのが斉昭なのです。

―― 水戸(藩)で行ったわけですね。

山内 常陸で行ったのです。ところが、寺は侮れません。寺は同時に、大奥の女中、夫人たち、側室たちの信仰対象です。それから、将軍の母や、前将軍の誰それとか。特に家斉の側室の1人であるお美代の方は、日蓮宗の強烈な信者です。こういった人間からのプレッシャーがある。

 それから京都でも、天皇家は「泉涌寺(せんにゅうじ)」という檀家寺を持っています。ですから、確かに神道なのだけれども、同...

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