徳川将軍と江戸幕府~家慶と烈公斉昭
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
烈公の光と影…徳川斉昭のビジョンと政治家としての資質
徳川将軍と江戸幕府~家慶と烈公斉昭(2)家慶が比較された徳川斉昭の実像
12代将軍・徳川家慶にとって常に意識せざるを得ない存在、それは水戸藩主の徳川斉昭だった。斉昭は非常にスケールの大きな政治家で、ビジョンや理想を描き、実際に北海道開拓に乗り出すなどを行った。だが、斉昭はこのような良い面ばかりではなかったと山内氏は語る。一見優れた政治家に見える斉昭の実像とは――。(全4話中2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:7分59秒
収録日:2021年3月8日
追加日:2023年10月10日
≪全文≫

●家慶にとって忌々しい存在だった徳川斉昭


山内 したがって、徳川斉昭の存在は、常に徳川家慶にとってはある面で忌々しいものがあったのです。

 何が忌々しいか。これは水野越前守忠邦老中が言ったそうです。上様(家慶)は天保の改革を行っていて、大変な改革を進めているわけです。そういった点でいうと、徳川吉宗、松平定信の2人は徳川の一族で、それに続けて「自分(家慶)も、一族の先達である吉宗と松平定信に並んで改革を行っている」という意識があるわけです。

 そのように天保の改革の推進者としての意識があるわけで、評価される面もある。でも、何をやっても斉昭と比較されたのです。そして、実は家慶が手を付け、水野忠邦が進めたような改革も、「あれは水戸様の後追いだ、水戸様の模倣だ、真似をしていらっしゃるのだ」と捉えられる。家慶にとっては実に心外で、いろいろと(胸に)つかえてくるものがあるわけです。

 斉昭という人は、 これは後から話になると思いますが、今でいう、いわゆる「空気が読めない」ところがあるのです。言うことは間違っていない、非常に正しいのだけれど、言うにしても「そのような言い方はないでしょう」「場所というものがあるだろう」といったように、TPOをほとんど欠いた人なのです。

 だから、理想を語るのです。「言うだけ番長」という言葉がありますが、大きいことを言う、知ったかぶりを言う、理想を語る。それは素晴らしいわけです。でも、「それを実現する術は?」「財源は?」というと、十分にない。そのような政治家は、過去から現在にかけて、やはりタイプとしているわけです。


●理想は語るが、実現に至るプロセスの考えがない


山内 そういった点でいうと、斉昭のようにスケール感のある政治家はいません。例えば、斉昭は何を構想するか。「北海道」という名前をつけたのは、伊勢出身の探検家・松浦武四郎ということになっている。ところが、松浦よりも早く、斉昭がすでに「北海道」という名前を提言しているのです。

 斉昭に話をシフトしますが、斉昭は北海道を開拓しようとする。これは2つ理由があります。まず、このような要所の国防、安全保障です。特にロシアという強力な国が南下してくる。それに対して、支えているのは松前の小藩(小さい藩)です。松前藩は、最初はいわゆる「無高(むだか)」といって幕藩体制史上、あり得ないような...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
グローバル環境の変化と日本の課題(6)組織改革と課題解決のために
働き方改革の鍵はエンゲージメント、経営者の腕の見せ所
石黒憲彦