徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
江戸時代「最悪」の老中・水野忠成が担った「汚れ役」とは
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(4)水野忠成の「汚れ役」と大塩平八郎の乱
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
50年という安定政権を築いた徳川家斉だが、実はその裏では文化として贈答(賄賂)が横行していた。家斉に仕えた老中・水野忠成も、賄賂による政治を行ったことで有名である。だが忠成は、実は家斉政権の財政を担い、さらに「天保の改革」の責任者である水野忠邦を引き上げた重要な人物でもあったのだ。こうした家斉政権の知られざる裏側を、同時期に乱を起こした大塩平八郎の心中と照らし合わせながら解説する。(全4話中4話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:13分00秒
収録日:2020年12月14日
追加日:2023年8月16日
≪全文≫

●賄賂が当たり前だった家斉時代


―― でも、(他の国などで)皇帝(リーダー)で50年という長期政権を維持し、しかもいい時代だったという例は、あまりないですよね。

山内 世界史を見ても、なくはなかったと思うけれども、これだけの安定政権として存在したものはないと思います。水野忠成も汚職と疑獄・腐敗の文化、贈収賄をこととした政治家という面が強調されるし、それは事実として否定できない面があるけれども、ただの贈収賄では政治はもたないのですよ。

 贈収賄といっても、それは一つの贈答文化です。構造として政治社会がそうなっていたという時代です。例えば、水野忠邦は改革派政治家で、精錬なイメージを与えています。忠邦は第一に、多くの点で賄賂を贈ることによって老中の地位を得た人間です。当時は松平定信でさえ、田沼意次になにがしかの賂(まいない)をしなければ老中までたどり着かなかったでしょう。皆がそういったことをした時代でもあるのです。

 家斉政権で一番、清廉潔白だとされているのは、小田原城主であった大久保加賀守(大久保忠真)という人物です。実は大久保も水野忠邦も、大坂城代を経験している。大坂城代を務めると何を経験するか。大坂の商人である三井、住友、鴻池、加島屋といった人間と付き合うことによって、大名家として財政赤字や財政の必要なときに援助してもらう。こういうルートを作ったりもするのです。

 それからもっとすごいのは、「無尽」。(つまり)頼母子講(たのもしこう)を行っていたのです。

 貧しい人間同士がお互いに融通しあって行う頼母子講は、江戸時代においてもあからさまには禁止されていません。ところが、侍(武家)が頼母子講、無尽を行うことは事実上、禁止されているのです。

 無尽というものは、勝ったものが逃げてはダメなのです。勝った人間が無尽からサッと抜けることが許されていたら、無尽は成り立たない。ほぼ賭博になってしまう。だから幕府は、ずっと禁止していたのです。禁止していた老中たちが、実は自分たちが大坂城代などの時に無尽を行って得た金を、老中になるための政治資金として使っていたなんて、洒落にならないでしょう。

 大塩平八郎の乱の時、その中でこういう問題がひずみとして出てくるのです。はっきりと告発されたりする。大塩もそういうことを、現役の与力の時代に摘発したりしています。摘発してい...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
逆境に対峙する哲学(7)試練と祟りと弱さの力
モンテーニュの告白「学が邪魔をすることがある」と百姓の力
津崎良典
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
「進化」への誤解…本当は何か?(2)「進化論」対「創造論」
「進化論」対「創造論」…アリストテレスの目的論とは?
長谷川眞理子
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ