平安時代の歴史~「貴族道」と現代
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「貴族道」とは何か――武士の対極にある貴族の価値理念
平安時代の歴史~「貴族道」と現代(8)平安王朝における「貴族道」
関幸彦(歴史学者/元日本大学文理学部史学科教授)
平安時代の貴族は位階三位以上を指していたが、彼らが国政の中枢を担当する一方で、位階四位以下の人々は地方政治を担った。そしてこの時代、貴族たちは独自の価値観として、「武士道」に対をなす「貴族道」といっていい概念を形成した。これは貴族の精神性や対外的な影響力の違いを示すものである。今回の講義では、そこで武士の対極にある貴族の「貴族道」について理解を深めていく。(全9話中第8話)
時間:10分38秒
収録日:2023年10月20日
追加日:2024年2月23日
≪全文≫

●貴族といえるのは位階の「三位」以上だけ


 それでは、摂関体制とか摂関家の成立の問題を扱いましたので、その中核を担う人々ですが、言うまでもなくこれを「貴族」と呼ぶわけです。

 奈良時代も含めて、貴族という言葉の「貴」という概念は、漢語の「貴」から来ているもので「とうとい」という意味です。この「とうといやから」が貴族です。貴い人たちを貴族と、漠然となんとなくイメージしますが、制度的に律令の時代のシステムでの「貴」というのは、本来は位階があり、ご存じのように官職とか位階です。この位階の中で厳密にいうと、そのストライクゾーンの貴族は「三位」以上のなのです。

 位というのは天皇との距離感ですから、天皇に一番近い人のことを一位、これは大臣クラスです。一位や二位、三位となり、一、ニ、三というように数字がどんどん多くなるに従って、天皇との距離が遠くなるわけです。したがって、数字が一位、二位、三位という、このレベルは天皇を囲繞(いにょう)し、天皇を囲んで政をしていく朝廷の内部における中核的な人脈の人々を、貴族というのです。ですから、一位、二位、三位というのが貴族の中の中枢で、これを「貴」と呼ぶわけです。

 ところが、四位や五位というのは、この貴のもっと外側のアウトゾーンに位置している貴族たちで、広い意味での貴族です。これを貴族に通ずるという意味から、「通貴」と呼びました。そういうことで、四位や五位の位階の人々を通貴といいます。この通貴の人々と貴という人々、これが広い意味での貴族の集団ということになるのです。

 さらに、国政、国の中軸にあって政をする人々は、一位、二位、三位という貴のグループの人々です、そして四位、五位は一般的には「中下級貴族」と呼んで、これは中核的な国の政、中央政治ではなく地方政治に関わる人々です。ですから、前にお話しした道理の船と非道の船云々の中に出てくる受領、国司のポストは、だいたい五位のグループの人々たちで、彼らが地方の国の政を担っていくということになるわけです。


●王朝国家の中でイメージ化しやすい「貴族道」


 このような形で、貴族たちは朝廷の内部において、天皇に近い形で動いていくわけです。そうする中で、いわば貴族と別立ての枠組みの人たちがいます。普通は、五位の外側に位置している人たちですが、これは明瞭な規定があるわけではないのですが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(23)上半期人気ランキングBest30
【編集部ラジオ】令和8年上半期人気ランキングBest30
テンミニッツ・アカデミー編集部
老子の神髄(9)ウェルビーイングと東洋思想
ウェルビーイングを東洋思想でどう考えるか?…大事な二つの教え
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(3)戦国時代初期――戦国七雄と合従連衡
戦国七雄とは?合従連衡とは?…各国の勢力拡大と小国家の運命
鶴間和幸
日本の財政の真実を検証する(4)日本の台所事情と財政の本義
「1秒間に41万円?」…この数字はいったい何を意味するか?
宮本弘曉
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(2)三大要素は「皇帝」「都市」「漢字」
中国皇帝の実像は都市ネットワークを握る「最大の資本家」だった
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉