平安時代の歴史~「貴族道」と現代
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
律令国家から王朝国家へ…「請負制」と公家、武家、寺社家
第2話へ進む
平安時代の構造と特徴は?激動と転換の400年が持つ意味
平安時代の歴史~「貴族道」と現代(1)日本の歴史における平安時代の意味
歴史と社会
関幸彦(歴史学者/元日本大学文理学部史学科教授)
古代から中世への移行期である平安時代は、日本史上最長の400年に及ぶ時代である。平安貴族に象徴される優雅なイメージとは異なり、この10世紀は内外の危機に見舞われた激動の時代でもあり、さらに周辺国も含めて大きな転換期だったのである。この平安時代を学ぶことは、現代社会に生きる私たちが新時代に突入していく上で大変参考になるはずだ。これから9回にわたり関幸彦氏に解説していただく。(全9話中第1話)
時間:12分15秒
収録日:2023年10月20日
追加日:2024年1月5日
≪全文≫

●天皇を保持する国のシステムと武士の存在


 皆さん、こんにちは。私は関幸彦と申します。よろしくお願いいたします。

 今回のテーマは平安時代ということで、その平安時代の大きな流れをお話ししながら、一方では、平安の時代が持った今日的意味を考えながら、同時に、歴史というのは過去を単純に掘り下げるだけではなく、その過去から今日的なテーマをどう汲み上げていくかという、そういうところのポイントを、これから何回かにわたってお話ししようと思います。

 以前、この講座をお取りになっている方に、私は武士の問題を扱った経緯があります。武士とか武家とか、あるいは幕府というものの成り立ち、成立過程ということを前にお話ししました。

 そこでの結論は、直接その部分には論及できませんでしたが、今回は、貴族なり、あるいはそれと関連して武士なりという話をする際に、参考までに言わせていただくと、この『武家か天皇か』という、朝日新聞出版から昨今出た私の本があり、その中にも今日のテーマと、前回の武士のテーマとの連動が書かれておりますので、ぜひ参考にしてください。

 そこでの結論ですが、結局、日本の歴史は、天皇という存在、つまり国のシステムとしての天皇という存在を、ずっと歴史の中に保持し続けていきました。そして、一方ではそれに対峙するかたちで、武士なり武家なりという存在があったということです。

 その武士なり武家なりというものを誕生させたのは、中世という時代です。中世という時代は、いわば突然到来するわけではなく、それ以前の段階を経ながら徐々に到来していくということです。前回は、その武士の成立のプロセスについて考えながら、日本の歴史を俯瞰してきたということになると思います。


●日本史上最長の平安時代が持つ意味


 今回のメインテーマはその武士、武家というものが登場する以前、別の言い方をすれば、歴史のバトンというものが、貴族の時代から武士の時代に受け継がれていくという、そのバトンゾーンの時代です。このバトンゾーンの時代を、一般的に広く「平安時代」と呼んでいます。

 平安時代と一口にいっても、400年という非常に長期に及ぶ時代で、過去の日本の歴史を見ても400年にもわたる長い時代というのはありません。皆さんご承知のように、江戸時代でさえ250年ないし260年ほどです。それをはるかにしのぐ期間が、平安...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀
寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革(1)学問吟味の導入と正統性の問題
松平定信のもう一つの功績「学問吟味」の画期性に注目
中島隆博
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
人類の祖先たちの「出アフリカ」…その時期はいつ頃?
斎藤成也

人気の講義ランキングTOP10
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
日本の定年制はおかしい…ガラパゴス的で不幸を招く制度
出口治明
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉