平安時代の歴史~「貴族道」と現代
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
三平時代から三道時代へ、「摂関政治」定着への大きな流れ
平安時代の歴史~「貴族道」と現代(4)摂関政治と「三平・三道」時代
歴史と社会
関幸彦(歴史学者/元日本大学文理学部史学科教授)
平安時代に摂関政治が成立すると、天皇の役割は象徴的なものへと変化していった。この時代、藤原北家によって摂政・関白制度が確立されると、政治権力の中心は藤原摂関家に移る。そして『大鏡』に描かれた、藤原時平をはじめとする「三平時代」から藤原道長に象徴させる「三道時代」への移行こそ、この時代の政治システムの大きな変遷、すなわち摂関政治の定着を明確に示している。この政治的変化は日本史における重要な転換点となり、現代に続く象徴天皇制の源流となったという見方もできる。(全9話中第4話)
時間:13分23秒
収録日:2023年10月20日
追加日:2024年1月26日
≪全文≫

●藤原北家によって作られた「摂関政治」のシステム


 それでは、10世紀というのは1つの政治的権力のエポックであることを考えたときに、ある種の請負ということがなされます。政(まつりごと)の請負、いわば政治、経済と、さまざまなことが請負としてなされるわけです。

 その請負のことを政治権力の中で、具体的に天皇の政治に代わって請負という形で対応する政治形態、これが「摂関政治」です。たぶん、摂関政治、摂関家とか、あるいは摂関家の代表が藤原道長であるとか、これらは常識的な形で皆さんは聞いたことがあると思います。

 道長の時代というのは王朝の時代で、「春はあけぼの」から始まる『枕草子』を暗記させられたと思います。また、「いづれの御時か」云々かんぬんや、「やむごとなき際にはあらねど…」などを暗記させられた『源氏物語』もあります。その時代こそが、いわば道長王朝の時代で、その王朝の時代が日本的なオリジナリティというものが生まれていく時代でもあるということになります。

 そして、その時代は摂関政治の全盛の時代としばしば言われます。では、その摂関政治というものはどのようにして生まれたのでしょうか。

 われわれは物事の本質を考えるときに、漢字の成り立ちと、その本来の意味から整理して入っていくと分かりやすいと思います。摂関の「摂」というのは、政を束ね、ふさねることです。そして「関」というのは預かり申すということをいいます。

 お店などで、よく「店主敬白」という言い方があります。「都合によってお休みします。店主敬白」などという言い方があり、「白」というのは「申す」です。ですから、いわば「関白」とは、「関」は預かるということですから、天皇の言葉を預かって臣下に申し伝えることです。この役割を「関白」というわけです。摂政は政を束ね、ふさね、執行していくことになります。

 似ているものですが、一般的に摂政の場合には、天皇が幼少のみぎり(頃)に、天皇に代わって政を代行していきます。これが摂政です。関白というのは、天皇は成人しているけれども、天皇の補佐役、政治相談役で、これが関白です。この摂政・関白両様が、藤原北家によってなされていくわけですが、この政治システムを摂関政治と呼びます。


●現在の象徴天皇制の源流が摂関体制にあった


 しかし、その摂関政治がどういう経緯、どういういきさつ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留