平安時代の歴史~「貴族道」と現代
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院政か親政か…日本史で重要な政治システム「治天」とは
平安時代の歴史~「貴族道」と現代(5)摂関政治から院政へ
歴史と社会
関幸彦(歴史学者/元日本大学文理学部史学科教授)
平安時代後期の摂関政治において、特に摂関家の女子力が政治的影響力を持つようになる。天皇の血統を保持する上で摂関家の女子たちが重要な地位を占めたからだ。そうして、当時非常に大きな役割を担った摂関政治だが、やがて「院政」という新たな政治システムが登場してくることになる。これは「天皇親政」に対する言葉で、そこで関氏は「治天」という重要なキーワードを挙げているが、それはどういうことなのか。今回は、日本の歴史において重要な政治システムの転換点となった摂関政治から院政への移行について解説する。(全9話中第5話)
時間:12分51秒
収録日:2023年10月20日
追加日:2024年2月2日
≪全文≫

●女子力という摂関家最盛の最大の秘訣


 重要なことは、男の子を産むこと、男性が跡継ぎになること、これを良しとする価値観がなんとなく日本社会の中でも蔓延していることです。歴史的にいえば、男子尊重の意識、家を継ぐという意識は、実は武家の時代になってから定着していく考え方で、平安時代、特に(平安)後期の王朝の時代は、男子はもちろん、天皇家とか限定されたときは跡継ぎの皇子、これが前にいった血のサラブレッド性からいえば意味を持ったのです。

 しかし、多くの貴族たちは、男の子ということも一方では必要でしたが、やはり女子力というものがことのほか重要だったのです。摂関政治を見ていくと、最大のポイント、関家最盛の最大の秘訣は女子力にあるわけです。

 つまり、大臣あるいは摂関家の女子たちが、天皇家に入内します。つまり天皇のもとに入内するわけです。これによって、その女子に皇子が誕生すれば、外戚の地位を確保できるのです。その外戚の地位というものが天皇の権威に付随して、一種の政治権力をその家が持つことになるという、こういう循環となるわけです。

 ですから、摂関政治というものが、わが国にとって1つの大きなターニングポイントになっていきます。これは政治の請負という問題が連動するわけですが、一方では、天皇家を藤原氏がリンクしながら再生産していくのです。いわば血の再生産、貴種の再生産という意味では、摂関家の女子が天皇に入内し、その結果として皇子を産んでいくということです。これが幾重にも、何代にも続いていく流れになるのです。

 皆さんに示している天皇系図があります。この天皇系図をざっとご覧いただいて分かると思いますが、つまり第60代の醍醐天皇以下のローカルに因む天皇名を持つ天皇たちは、一条天皇とか、三条天皇とか、後一条天皇というように、いわば京都の地名に由来する天皇名の天皇の母たちの血筋を見ていくと、圧倒的に多くは摂関家の女子です。この現実を見ても、摂関政治の持つ意味はことのほか大きかったということがお分かりになると思います。

 そのようなことで、われわれはその摂関政治の形成のされ方を見ながら、三平時代から三道時代の転換の中で、摂関政治がより請負というものに特化した形で、(すなわち)政治体制が日本国の現実の間尺に合ったというか、実態に合った...

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