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戦後、占領下の日本人が過ごした劣悪な生活環境の真実

戦後復興~“奇跡”の真実(4)占領下の劣悪な生活環境

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
第二次大戦が終結したのちの生活環境は、非常に劣悪なものであった。敗戦に伴う食糧不足に始まり、伝染病の蔓延に加えてアルコール依存症や犯罪などで急速に社会不安が広がった。その解決に使われるべき予算は、占領軍の生活を保障するために充てられていた。今回は、アメリカ人歴史学者ジョン・ダワーの著書に依拠しつつ、悲惨な当時の日本人の生活環境について語る。(2019年7月23日開催島田塾会長講演「戦後復興:“奇跡”の真実」より、第4話)
時間:06:23
収録日:2019/07/23
追加日:2019/08/27
キーワード:
≪全文≫
※以下、本文は講演資料に基づいた形になっております。動画と合わせてご利用ください。

●占領下の日本人と生活

ーJohn Dower 『敗北を抱きしめて』”Embracing the Defeat”
ー敗戦の虚脱
天皇視察への反応、エピソード:
 天皇が1945年3月東京大空襲の被害を自ら視察。その際、住民は天皇に敬意に満ちた態度を見せなかった。民衆の戦意の低下。虚脱症状。集団疲労は大敵。
ー欠乏と飢餓
・戦争の長期化、不作、混乱、腐敗
・食糧不足は1941年頃から深刻化、
・本土自給率低い、基本的な食料、中国、朝鮮、台湾に依存。
 敗戦で途絶←輸送船など運搬手段壊滅。海外領土喪失、植民地解放。
・1945年夏の敗戦、最悪のタイミング、前年収穫米の備蓄底、労働力、農機具、肥料不足、1945年は天候不順、収穫高は最悪。
・カロリー不足。国民ほとんど栄養失調、1000万人餓死との噂。実際、1000人超える餓死者。
天皇の資産売却 → Mに食料懇願 → やがて30万トンの穀物これは美談。提供は2年後。
・実際には1945年、46年、政府の対日食料輸出要請を米国など拒絶。
ー配給制度の不全と闇市
・配給制度機能せず、隠匿、横流し、闇市は30倍の値段?
・1947年は平年並み収穫、しかし配給は前年を下回った。
ー裁判官餓死の衝撃
・山口良忠は小法廷を担当。法に反する闇市利用の庶民を処罰。山口の法廷の大半はささやかな庶民の事犯。ヤミ市場で暴利をむさぼる者を裁くことはほとんどなし。
・山口は自分1人法に従って生きる道。自分には配給以外食べないとして餓死。
ー都市住民は”タケノコ”生活
・ハイパーインフレが直撃。闇市場の高騰率はさらに高い。庶民生活を苦境に。
ー病疫:
・ 戦時中に浸透していた伝染病が敗戦下の不潔、無秩序、貧困の中で猛威。
 1945年 赤痢の死者、2万人越す。
 1945~48年、コレラ、赤痢、天然痘、チフス、髄膜炎、脳炎に感染者65万人以上、死亡10万人。結核はより深刻。毎年10万人以上が死亡。
ー社会病疫:
・アルコール依存症↑。犯罪↑。
 ヘロイン、麻薬、売春。
ー占領軍関係費の圧迫
・占領軍経費は、占領開始時、国家予算の1/3。
・住宅や施設は、アメリカの生活水準に合わせる必要。
 ゆったりした占領軍専用列車をタダで提供。
ー占領軍兵士らのための慰安施設
・米軍の要請で銀座などに慰安所を設けたが足りず、その後、増設。政府は花柳界にも協力要請。
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