幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
条約勅許問題…井伊直弼の「無勅許調印」の背景とは?
第2話へ進む
ペリーと阿部正弘…黒船来航から15年で幕府が潰れた理由
幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断(1)ペリー来航と阿部正弘の改革
落合弘樹(明治大学文学部教授)
ペリー来航という天下の一大事に対して、老中・阿部正弘は幕政改革を行い、挙国一致の政治を進めていった。それ以前の幕政は幕閣のみで重要な決定を行ったが、阿部は大名との協調と公論の重視を押し出したのだ。それはなぜか。また、そこにどんな意味があるのか。歴史的経緯をたどりながら論ずる。(全6話中第1話)
時間:13分51秒
収録日:2018年8月20日
追加日:2018年11月1日
≪全文≫

●ペリー来航と天下泰平の終わり


 明治大学文学部史学地理学科教授の落合弘樹と申します。このシリーズでは、幕末・維新の日本の様子について、お話ししたいと思います。第1回目の今回は、ペリー来航と老中・阿部正弘による幕政改革についてお話しします。

 江戸時代では、非常に長い天下泰平の時代が続いていました。しかし、幕末にはそれが大きく変わっていきます。その変化の最初のきっかけが、ペリー来航だったわけです。ペリーが日本にやってきた年は、西暦に直せば1853年になりますが、日本の十干十二支でいうと、癸丑(きちゅう)の年になります。

 そこで同時代には、「癸丑以来」という言葉が非常によく使われました。それは、ペリー来航以前と以後とでは、すっかり時代が変わってしまったことを意味します。癸丑以前、つまりペリーがやって来る前は、大坂夏の陣以降、非常に長く平和な時代が続いていました。このような歴史を持つケースは、世界史的な観点から見ても非常に稀です。

 戦争や大きな内乱がない状況の中で、江戸時代の日本においては非常に内発的な発展がなされます。自給自足の経済が展開していくのです。最初は、例えば生糸や木綿といったものを外国から買っていたのですが、そういったものを日本国内で生産するようになり、それが最終的には輸出に回せるぐらいの生産量になりました。

 対外関係を見ても、貿易を行っていたのは、西洋諸国ではオランダだけでした。他は、中国と朝鮮のみ貿易をやっていました。また、国家として正式に関係を結んでいたのは、朝鮮と琉球だけでした。このように、東照大権現、つまり徳川家康以来の「天下静謐・外敵防御」といわれる天下泰平を謳歌していたのですが、そういった状況がいよいよ終焉を迎えるのがこの時代です。

 外国について見ると、すぐお隣の中国ではアヘン戦争(1840~42年)が起きていたわけです。国内においても、体制的な危機がぼちぼち深刻化してきたため、そうした危機感が出ていました。つまり、ペリーがやってきていきなり大騒ぎしたわけではなく、ペリーがやってくる10年ほど前からすでに、政治を担当する者の間ではその危機が自覚されていたということです。


●阿部正弘の幕政改革~統制から協調へ~


 そういった中で、水野忠邦は...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
聖徳太子「十七条憲法」を読む(1)十七条憲法を学ぶ現代的意義
聖徳太子の「和」は議論の重視…中華帝国への独立の気概
賴住光子
これから必要な人材と人材教育とは?(2)AI時代に必要とされる能力
AI時代に必要なのは「問いを立てる能力」…いかに育成するか
柳川範之
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
人間のほうがAIに寄ってしまう?…関係性と倫理のあり方
中島隆博
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
医療から考える国家安全保障上の脅威(5)日本の医療の問題点と提言
なぜ日本の医療はテロに対応できないのか?三つの理由
山口芳裕