国際地域研究へのいざない
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明治維新を成し遂げた日本が当時直面していた困難とは何か
国際地域研究へのいざない(5)苦境の日本と帝国主義の波
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
地域研究の3つ目の例として、世界的にも近代史の奇跡といわれる日本の明治維新を取り上げる。米墨戦争の名将ペリーが日本に来航した時、徳川幕府は経済的に行き詰まった状況にあった。のちに維新の立役者となる長州藩と薩摩藩も、外様大名として幕藩体制下で冷遇され、財政が破綻しかかっていた。維新の改革が断行される前の日本が直面していた状況に関して、島田晴雄氏が解説する。(全8話中第5話)
時間:10分30秒
収録日:2020年4月7日
追加日:2020年12月12日
≪全文≫

●明治維新は世界近代史の奇跡


 もう一つ、地域研究の例として、幕末から維新にかけての日本を取り上げます。これも私が長いエッセイを書いて、テンミニッツTVで何度もお話しさせていただきました。

 明治維新は、日本近代史の奇跡といわれていますが、日本だけではなく世界近代史の奇跡なのです。なぜあのようなことが可能だったのでしょうか。例えば、世界の革命の歴史の中で、あれほど短期間で、ほとんど血も流さず、見事に体制を変換させたのは、世界史上でも珍しいのです。

 当時は地政学的に帝国主義が世界を支配していた時代で、多くの国が欧米の植民地となりました。ところが、日本はアジアの中ではタイと並んで、珍しく植民地になっていない国です。しかも明治維新が終わって30年前後で、日本は世界の列強の一つとなりました。国際連盟体制下での列強は、アメリカ、イギリス、フランス、日本などです。ドイツは入っていません。こうした国の一角を占めていたのです。そこまで急速な発展を遂げた理由は、日本の奇跡として世界中の関心を集めています。

 もう一つ、日本の奇跡として挙げられるのは、第二次世界大戦後の復興です。アメリカ相手に無謀な戦いをして、原爆を2発落とされて、焼け野原になった国が、約20年後にはアメリカに次ぐ経済大国になったことも、奇跡として受け取られています。

 今回は前者の、封建制から近代国家に生まれ変わった幕末維新の日本を取り上げて、どのように理解すれば良いか、解説していこうと思います。


●植民地化の波が押し寄せた時、日本は行き詰まっていた


 明治維新を成し遂げた当時の日本は、帝国主義の波が徐々にアジアに押し寄せつつある最中でした。この時代には、欧米が急速に台頭して、アジア各地に植民地を広げました。アジアだけではなく、大西洋を囲む地域もアメリカの台頭で植民地化されていきました。

 アジアに関しては、1840年から42年にかけて中国でアヘン戦争が起きました。さらに、その結果残った遺恨を蒸し返すように、1856年にはアロー号事件が起きました。それからしばらくして、インドは植民地化されました。

 日本に対する植民地化の影響は、ペリーの来航とともに訪れました。第一次来航が1853年で、その翌年の第二次来航の際に、開国条約を結ばされました。この艦隊を率いたマシュー・ペリー提督の経歴は、日本ではあまり知られて...

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