国際地域研究へのいざない
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
幕末・維新の歴史から学ぶ「人材の蓄積の重要性」
国際地域研究へのいざない(7)明治維新の評価と人材の蓄積
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
近代日本の人々はまさに一級の人材であり、その後の日本の発展に大きく貢献した。明治維新は日本の構造を大きく変えなかったとする歴史観に対して、島田晴雄氏は日本の幕末から維新にかけて生まれてきた人材たちは、現在の日本にも影響を与える偉大な功績を残してきたと強調する。コロナ後の日本を考えるうえでも、人材を蓄積していた幕末維新期の歴史に学ぶ重要性は、計り知れないほど大きい。(全8話中第7話)
時間:7分36秒
収録日:2020年4月7日
追加日:2020年12月26日
≪全文≫

●今日の日本につながる陸奥宗光と福澤諭吉の功績


 岡崎久彦氏の遠い縁戚にあたる、陸奥宗光という人がいます。この人は、紀州藩の俊才で、坂本龍馬などとも親交があったそうです。彼は、幕末に諸外国との間に結ばされた不平等条約を、十数年かけて全て平等条約に改正するという離れ業をやってのけました。

 彼は長く外交に携わっていて、日清戦争時にも病身でありながら軍師的な地位にいました。日清戦争で日本は勝利しましたが、その後間もなく三国干渉によって日清戦争で得た利権を返還するよう求められました。これに反発して、国際社会に訴えて戦おうという意見がありましたが、陸奥宗光は素直に受け入れるように進言しました。大規模な国際会議などが行われれば、また中国の狡猾な戦略にしてやられてしまうというのです。日本は結局この要求を受け入れたので、陸奥の進言が今日の日本につながる道筋をつくったともいえるでしょう。彼は紀州藩という徳川方の藩の出身だったため、あまり出世できず伊藤博文の外務大臣までしか至りませんでした。

 また、福澤諭吉もやはり巨大な人です。彼も九州の中津藩という小藩の出身です。懸命に勉強して、最初は幕府を支持して戦えといっていましたが、そのうち失望しました。そして、明治政府が成立しても、同じように失望しました。最終的に若者を教育する以外道はないと思い、100年先を見通して、慶應義塾を創設しました。現在の慶應義塾大学も、大変な影響力を持っています。このように、大変な人材が多く存在していたのです。

●さまざまな見方ができる明治維新の評価


 当時の日本、幕末・維新を対象とした地域研究から学ぶことは、ひと言でいえば、日本に大変な民族能力が蓄積していたということだと思います。

 維新の評価には、さまざまな見方があります。まず、官軍史観は、薩長は正しくて、薩長が日本を良い方向に導いたという考え方です。

 それに対して、占領軍史観、または東京裁判史観と呼ばれる見方があります。これは戦前の日本は革命を達成したというが、結局半封建的な国を残していて、見るべきものはまったくない、日本を民主化させたのは占領軍だというものです。これと同じ論法を用いているのが、左翼史観なのです。そのような史観は、いくらでもつくれるのでしょう。

 司馬遼太郎は、なぜか明治政府の中心にいて指導していた人は、ほとんど扱...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
島田晴雄
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ
太陽系とその外に広がる星の世界との関係
岡村定矩
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫