幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断
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廃藩置県…急進的な中央集権化を新政府が断行できた理由
幕末・維新史を学ぶ~英傑たちの決断(5)廃藩置県の断行
落合弘樹(明治大学文学部教授)
版籍奉還や各藩への財政改革要求などを経て断行された廃藩置県。落合弘樹氏によれば、それが明治初期の中央集権化のポイントだという。その背景には、西郷隆盛というカリスマ的存在があった。(全6話中第5話)
時間:13分15秒
収録日:2018年8月20日
追加日:2018年11月1日
≪全文≫

●明治初期の郡県制と封建制の併存~中央集権化への障壁~


 今回は、廃藩置県についてお話ししたいと思います。

 徳川幕府が崩壊し、江戸が東京に改められて、天皇は東京にうつるわけです。政府の中枢はそういう形で固められていきます。しかし逆に、地方の状況は非常に複雑になっていました。

 この当時の地方は、府・藩・県に分けられていました。まず、かつての三都である東京・京都・大坂は、府に位置付けられました。大阪府と京都府は今でも府として残っています。東京は、昭和の初めに、東京府と東京市を一体化して、東京都になります。次に、かつての徳川家の直轄地である天領、それから旗本たちが持っていた土地は、県にまとめられます。こういった府や県には、東京から長官が派遣されて、政府が直接に統治するいわゆる直轄府県が成立するわけです。

 しかしながら、かつての大名領は、藩という形を取るため、藩は引き続き大名とその家臣たちが治めていました。これはつまり、中央から長官が派遣される郡県制と、地元の有力者が統治を委託される封建制が、併存していたことを意味します。封建・郡県とは、中国の古代の政治体制を指す言葉です。こういったように、集権化が推進される一方で、大名の権限が依然として強く残っていました。こういった状況を改善しない限り、天皇の下に権力を集中することができないのです。


●藩の段階的な解体~版籍奉還と各藩への改革要求~


 そこで、この府・藩・県を一体化して、政府が全国津々浦々に政令を浸透させるためには、藩の廃止が絶対に必要だったのです。しかし、藩というと、これは旧大名家つまり200年以上の主従関係に基づく強固な組織でした。それだけでなく、軍隊まで持っていますから、それを簡単に解体するのは非常に難しい。したがって、段階的な解体が図られるのです。

 どういう形を取ったかというと、まず版籍奉還という措置です。これは、日本の君主は天皇であり、全ての日本人あるいは全ての日本領土は天皇の下に属する。これを大名たちが私することはおかしいという論理に基づいて、土地と人民を天皇に大名たちが返上するわけです。その代わり、かつての大名は、知藩事という形で地方長官に位置付けられ、藩士たちは、知事の下で執務を執るお役人になりました。こうして、大名およびその家臣は、天皇の臣下という形に位置付けられることになっ...

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