徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
徳川家康が高い教養を修得できた人質時代の幸運な出会い
徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編(2)海外への認識と基礎教養
歴史と社会
江戸幕府には外国との窓口として、対馬口、長崎口、琉球口のほかに松前口があった。松前口は弘前などを中心とする陸奥国にあり、そこから広がる北方地域を松前藩として幕藩体制に組み込んでいった。このことは、徳川家康が海外への認識をしっかりと持っていたことを表わしている。そうした教養を家康はなぜ身に付けることができたのか。そこには苦しい人質時代の幸運な出会いがあった。(全5話中2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:8分41秒
収録日:2019年12月26日
追加日:2021年1月16日
≪全文≫

●外国との窓口として松前藩を幕藩体制へ組み込んでいった


山内 もう一つ、忘れてはいけないのは、三つの口の他にもあるということです。外国との窓口を「口」と呼ぶのですね。対馬口、長崎口、琉球口と、もう一つ、松前口というのがあるのです。

 松前口というのは、旧国名でいうと、まず北辺の弘前などを中心とする陸奥国ですね。さらにそこから海峡、海を越えて、蝦夷(えぞ)、渡島(わたりしま)、大島と呼ぶ地域が、ずっと北方に無限に広がっていたわけです。これは、近代の国際法や、国際的な地域概念や、地図の概念がない時代ですから、どこまでが日本かは確定していないわけです。

 それから、後に進出してくるロシア。それから清朝は、もともと満州族から発展しましたから、ツングース系で、アムール川の下流域、そういう地域まで中国です。満州族としての清朝は、広く勢力を伸ばしていました。このあたりは、国の力あるいはインフルエンスというものが、ちょうど重なるゾーンだったわけです。

 それと同時に、北方諸民族という地付きの先住民族がいました。日本人に一番よく知られているのは、アイヌ、アイヌ民族です。アイヌの北には、さらにニヴフとか、ウイルタという、いわゆる昔、ギリヤーク、オロッコと呼んだようなツングース人たちが開かれていた。

 彼らを通して、毛皮であるとか、魚類であるとか、それからのちに俵物貿易といわれますが、長崎から出していくところの数の子とか、それからヒレですね。それから後、昆布であるとか、身欠きにしん、鮭、そういう、いわゆる魚のかすといったようなもの。こうしたものは、北方のほうから来るわけです。それをいわば貿易口として、公式に認知されるような国家がそこにあったわけではないけれども、松前藩として幕藩体制の中に組み込んでいくわけですね。松前藩を介して蝦夷地とも関係を持つわけです。

―― そうか、幕藩体制の中に組み込んでいくのですね。

山内 当時、松前や北海道は米が取れませんから、封建領主としては非常に異例なのですが、米に関しては生産高ゼロ国なわけです。

 対馬藩もあまり取れないのです、米は。だけど、対馬藩は後に朝鮮との外交関係を扱うから、10万石格という、格を与えられます。

 松前藩は、最初は1万石格でした。幕末になると、3万石格になります。これは、ロシアへの備えや、ロシアとの関係が出てく...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘

人気の講義ランキングTOP10
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(2)日本人が知らない世界エンタメ市場
実は「コンテンツ世界収益ベストテン」に日本勢が5つも!
水野道訓
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?
学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
未来を知るための宇宙開発の歴史(13)発展する宇宙空間利用と進化する技術
最近の話題は宇宙生命学…生命の起源に迫る可能性
川口淳一郎
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯
ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生
江崎昌子
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹