徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編
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徳川家康が高い教養を修得できた人質時代の幸運な出会い
徳川将軍と江戸幕府の軌跡~家康編(2)海外への認識と基礎教養
江戸幕府には外国との窓口として、対馬口、長崎口、琉球口のほかに松前口があった。松前口は弘前などを中心とする陸奥国にあり、そこから広がる北方地域を松前藩として幕藩体制に組み込んでいった。このことは、徳川家康が海外への認識をしっかりと持っていたことを表わしている。そうした教養を家康はなぜ身に付けることができたのか。そこには苦しい人質時代の幸運な出会いがあった。(全5話中2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:8分41秒
収録日:2019年12月26日
追加日:2021年1月16日
≪全文≫

●外国との窓口として松前藩を幕藩体制へ組み込んでいった


山内 もう一つ、忘れてはいけないのは、三つの口の他にもあるということです。外国との窓口を「口」と呼ぶのですね。対馬口、長崎口、琉球口と、もう一つ、松前口というのがあるのです。

 松前口というのは、旧国名でいうと、まず北辺の弘前などを中心とする陸奥国ですね。さらにそこから海峡、海を越えて、蝦夷(えぞ)、渡島(わたりしま)、大島と呼ぶ地域が、ずっと北方に無限に広がっていたわけです。これは、近代の国際法や、国際的な地域概念や、地図の概念がない時代ですから、どこまでが日本かは確定していないわけです。

 それから、後に進出してくるロシア。それから清朝は、もともと満州族から発展しましたから、ツングース系で、アムール川の下流域、そういう地域まで中国です。満州族としての清朝は、広く勢力を伸ばしていました。このあたりは、国の力あるいはインフルエンスというものが、ちょうど重なるゾーンだったわけです。

 それと同時に、北方諸民族という地付きの先住民族がいました。日本人に一番よく知られているのは、アイヌ、アイヌ民族です。アイヌの北には、さらにニヴフとか、ウイルタという、いわゆる昔、ギリヤーク、オロッコと呼んだようなツングース人たちが開かれていた。

 彼らを通して、毛皮であるとか、魚類であるとか、それからのちに俵物貿易といわれますが、長崎から出していくところの数の子とか、それからヒレですね。それから後、昆布であるとか、身欠きにしん、鮭、そういう、いわゆる魚のかすといったようなもの。こうしたものは、北方のほうから来るわけです。それをいわば貿易口として、公式に認知されるような国家がそこにあったわけではないけれども、松前藩として幕藩体制の中に組み込んでいくわけですね。松前藩を介して蝦夷地とも関係を持つわけです。

―― そうか、幕藩体制の中に組み込んでいくのですね。

山内 当時、松前や北海道は米が取れませんから、封建領主としては非常に異例なのですが、米に関しては生産高ゼロ国なわけです。

 対馬藩もあまり取れないのです、米は。だけど、対馬藩は後に朝鮮との外交関係を扱うから、10万石格という、格を与えられます。

 松前藩は、最初は1万石格でした。幕末になると、3万石格になります。これは、ロシアへの備えや、ロシアとの関係が出てく...

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