鎌倉殿と北条氏
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
承久の乱…ついに東国武士たちの自立した政権が誕生
鎌倉殿と北条氏(9)承久の乱を経て「武家の時代」へ
坂井孝一(創価大学文学部教授/博士(文学))
「武者の世の扉を開いた」一人として、平清盛がなし得なかった「幕府」という組織をつくった源頼朝。その後、源氏三代による「貴種の幕府」が続くが、北条氏の台頭に伴う御家人同士の争いを経て、尼将軍を戴く「東国武士による自立した幕府政治」が始まる。これに異を唱えた後鳥羽院による「承久の乱」で北条氏側が勝利し、いよいよ真の「武家の時代」が始まることになる。こうした時代の転換点を振り返りながら、その歴史的意味を考える。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分35秒
収録日:2021年11月8日
追加日:2022年3月6日
≪全文≫

●「武者の世の扉を開いた」源頼朝と平清盛の違い


―― ここまでいろいろな話が出ました。一つはいわゆる将軍の形が変わっていくこと。将軍が源頼朝から源頼家、源実朝という貴種の源氏三代続いたものが変質していって、そこで東国武士による政権になっていくという形です。

 もう一つは前回お話しいただきましたが、御家人の中でのつぶし合いや粛清があり、最終的には北条氏がトップになっていくということです。

 さらに「承久の乱」が起こったことにより、京都と東国の関係が逆転していくということ。それらの3つが、この間に起きたことになります。それらに対する歴史的な意味づけといいましょうか、何がどう変わって、どうなったのかというところをどのように見ておられますか。

坂井 貴種の時代、要するに源氏三代の時代の幕府で、頼朝によって武家の力がかなり大きなものになりました。だから、私は(頼朝が)「武者の世の扉を開いた一人だ」と考えております。平清盛もそうですが、清盛がなし得なかったことを頼朝は幕府という組織をつくることによって始めたのです。

―― 清盛の場合は、朝廷の組織に乗っかろうとしたわけですね。

坂井 そうですね。京都にいたことが一つのポイントです。それに対して、頼朝は伊豆に流されていったところが出発点で、父祖伝来、父親なども関わりのあった鎌倉を拠点にしました。最初の頃は、東国武士たちに従わざるを得ない事情もあって鎌倉を拠点に据えたのですが、そのことによって清盛とは違う独自の組織を東国につくるという扉を開いたのです。


●貴種の幕府から東国武士による自立した組織へ


坂井 しかし、頼朝とその子どもたちは、東国で生まれ育った武士たちとは身分が違います。当時の身分制社会では、身分の上下が決定的な要素になります。現代の自由平等な社会では、そういうことはあまりピンとこないのですが、当時の人たちにとって秩序の根幹に身分の違いがあります。

 そういうことなので、頼朝がつくった、「頼朝とその子どもたちが主君である」という幕府は「貴種の幕府」です。武家の時代は開いたものの、まだ東国武士たち自身の自立した組織にはなりきれていないのです。

 では、誰がそれを東国武士たちによる自立した政権に変えていくのかというところに、貴種ではなく、その下の御家人たちの主導権争いが抗争という形で出てくるのです。貴...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
戦国大名の外交、その舞台裏(1)戦国大名という地域国家
戦国時代とは何か?意外と知らない戦国大名と国衆の関係
丸島和洋
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之

人気の講義ランキングTOP10
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(2)秀吉の実像と「太閤神話」
秀吉・秀長の出自は本当は…実像は従来のイメージと大違い
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保