鎌倉殿と北条氏
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承久の乱…ついに東国武士たちの自立した政権が誕生
鎌倉殿と北条氏(9)承久の乱を経て「武家の時代」へ
坂井孝一(創価大学文学部人間学科 教授)
「武者の世の扉を開いた」一人として、平清盛がなし得なかった「幕府」という組織をつくった源頼朝。その後、源氏三代による「貴種の幕府」が続くが、北条氏の台頭に伴う御家人同士の争いを経て、尼将軍を戴く「東国武士による自立した幕府政治」が始まる。これに異を唱えた後鳥羽院による「承久の乱」で北条氏側が勝利し、いよいよ真の「武家の時代」が始まることになる。こうした時代の転換点を振り返りながら、その歴史的意味を考える。(全9話中第9話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分35秒
収録日:2021年11月8日
追加日:2022年3月6日
≪全文≫

●「武者の世の扉を開いた」源頼朝と平清盛の違い


―― ここまでいろいろな話が出ました。一つはいわゆる将軍の形が変わっていくこと。将軍が源頼朝から源頼家、源実朝という貴種の源氏三代続いたものが変質していって、そこで東国武士による政権になっていくという形です。

 もう一つは前回お話しいただきましたが、御家人の中でのつぶし合いや粛清があり、最終的には北条氏がトップになっていくということです。

 さらに「承久の乱」が起こったことにより、京都と東国の関係が逆転していくということ。それらの3つが、この間に起きたことになります。それらに対する歴史的な意味づけといいましょうか、何がどう変わって、どうなったのかというところをどのように見ておられますか。

坂井 貴種の時代、要するに源氏三代の時代の幕府で、頼朝によって武家の力がかなり大きなものになりました。だから、私は(頼朝が)「武者の世の扉を開いた一人だ」と考えております。平清盛もそうですが、清盛がなし得なかったことを頼朝は幕府という組織をつくることによって始めたのです。

―― 清盛の場合は、朝廷の組織に乗っかろうとしたわけですね。

坂井 そうですね。京都にいたことが一つのポイントです。それに対して、頼朝は伊豆に流されていったところが出発点で、父祖伝来、父親なども関わりのあった鎌倉を拠点にしました。最初の頃は、東国武士たちに従わざるを得ない事情もあって鎌倉を拠点に据えたのですが、そのことによって清盛とは違う独自の組織を東国につくるという扉を開いたのです。


●貴種の幕府から東国武士による自立した組織へ


坂井 しかし、頼朝とその子どもたちは、東国で生まれ育った武士たちとは身分が違います。当時の身分制社会では、身分の上下が決定的な要素になります。現代の自由平等な社会では、そういうことはあまりピンとこないのですが、当時の人たちにとって秩序の根幹に身分の違いがあります。

 そういうことなので、頼朝がつくった、「頼朝とその子どもたちが主君である」という幕府は「貴種の幕府」です。武家の時代は開いたものの、まだ東国武士たち自身の自立した組織にはなりきれていないのです。

 では、誰がそれを東国武士たちによる自立した政権に変えていくのかというところに、貴種ではなく、その下の御家人たちの主導権争いが抗争という形で出てくるのです。貴...

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