鎌倉殿と北条氏
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「阿波局」が二人いる…八重に秘められた謎に迫る
鎌倉殿と北条氏(3)流人の恋と貴種流離譚〈中〉
坂井孝一(創価大学文学部人間学科 教授)
源頼朝と別れた後の八重の運命は不詳だが、再嫁した八重がその後、頼朝を通じて北条義時に嫁いだのではないかと考えられている。そうであれば、御成敗式目を制定した北条泰時は、八重の産んだ子である可能性が高い。いずれにせよ、八重との別れが頼朝と北条政子を結びつける縁となった。(全9話中第3話) ※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分23秒
収録日:2021年11月8日
追加日:2022年1月23日
≪全文≫

●源頼朝と北条政子の望みがかなった北条義時と八重の結婚


坂井 これまでの物語には貴種流離譚というパターンがあるため、八重の話は途中から消えてなくなってしまい、その後どうなったかは分かりません。それと同時に『平家物語』と『曽我物語』、特に『曽我物語』は北条氏の立場から書かれているらしいのです。そうすると、2番目の妻として「御台所」になった北条政子を立てないといけないわけです。

 そこで八重のことは書かずに、政子は優れた女性だったということを強調します。そのため、八重については分からないといわれていたのですが、事実としてはおそらく生き続けたのでしょう。最初の妻として悲しい別れを強要された八重を頼朝が放っておくわけはありません。ということで、どんな形かははっきり分かりませんが、おそらくは引き取ったのだと思われます。

 政子にはちょっと嫉妬深いところがありました。今の妻が政子で前の妻が八重だとすると、これはなんとかしなければいけないと考えるのが女性として当たり前の話ですよね。その頃、政子の弟の北条義時が頼朝の側近として近くで仕えるようになります。そうなると、事情をよく知っている義時のところに八重を嫁がせてしまうのが一番安心です。もちろん頼朝にとっても、わけの分からないどこかの御家人のところに出すよりも、自分の側近である義時と八重を結びつければ、そんなにデメリットはない。ということから、おそらくは義時と八重を結婚させたのではないかと考えています。

―― なるほど。


●二人の「阿波局」に秘められた謎


坂井 頼朝は義時と八重だけではなく、北条氏の娘と他の御家人、あるいは「この御家人とあの御家人の娘」というように何組も結婚の仲介を行っています。

―― 当時、そういう縁組が勢力圏を広げる一つの手段にもなるわけですね。

坂井 そうですね。頼朝の(異母)弟に「阿野全成(あのぜんじょう)」という僧がいますが、彼は政子と義時の妹、後に「阿波局」と呼ばれる女性と結婚しています。頼朝自身も流人で、ほぼ天涯孤独、身内というものがほとんどいません。したがって、政子の実家は非常に大事な身内です。逆に北条氏からいうと、それが彼らの権力の根本的な支柱になるわけです。

 そんな頼朝にとって、身内を結婚させることは身内を増やすことでした。さらに、御家人と御家人の間の仲介をすることにより...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(6)漢字と理性と想像力
漢字と理性と想像力…いま日本人が考えるべきこととは?
橋爪大三郎
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(16)エルのミュートス(物語)
エルの物語…臨死体験から考える「どういう人生を選ぶか」
納富信留
『タテ社会の人間関係』と文明論(7)日本型組織とリーダーシップの問題
『失敗の本質』より先に指摘した日本型組織の弱点
與那覇潤
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫