鎌倉殿と北条氏
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御台所となった北条政子が果たした重要な役割とは
鎌倉殿と北条氏(5)源頼朝の妻となった北条政子の実像
坂井孝一(創価大学文学部人間学科 教授)
北条政子には源頼朝没後の「尼将軍」イメージが強いが、彼女をそのように成長させたのは頼朝とともに苦労をした戦乱下の数々の体験だった。伊豆で生まれ育った、ありふれた武士の娘から御台所となった政子が頼朝と東国の武士たちをつなげる重要な役割を果たしていくことになるのだが、色好みの頼朝に苦労させられたエピソードも数多く、苛烈なものである。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分00秒
収録日:2021年11月8日
追加日:2022年2月6日

●源頼朝と苦労をともにした北条政子と東国武士


―― 最初の講義で、北条政子は源頼朝と結ばれたことで人間的にもだいぶ成長し、深みが出てきたというお話がありました。もともと政子はどういう人間だったか、どのように成長したのかという点について、どのように見ておられますか。

坂井 北条氏は中規模程度の武士団で、北条時政の父親の名前すら確定していないほどです。ですから、政子の幼少期や若い頃のことは、当然のごとくあまり分かっていません。成長した政子からさかのぼって、若い頃はこうだったのか、あるいは若い頃はそうした才能はなかったが新たな経験を積むことで才能が花開いていったのかと考えざるを得ないわけです。

 ともあれ政子も頼朝と一緒に大きな苦労をします。何といっても挙兵の第一戦が、山木兼隆を攻めるというものでした。ここを北条氏とその他少しの軍勢だけで攻めるのですから、勝てるとは限らない。もちろん勝てなければ逆に殺されてしまうかもしれない。そのような大変な状況の中で、政子も父の時政や弟の北条義時を送り出すわけです。それは、かなりの覚悟が要ることでした。

 さらに、石橋山の戦いで大敗をしたという知らせが、政子のもとに届きます。この時、政子は伊豆山権現というところに匿われていました。女性だったので避難していたわけですが、時政の後妻の牧の方と、後に阿波局といわれる政子の妹なども一緒になって、戦勝祈願のお祈りをしていました。

 そこに、大敗を喫して、生きているか死んでいるかも分からないという知らせが届きました。もちろん生きた心地はしなかったでしょう。そのような普通に生きている人生の中では考えられない壮絶な体験を、政子はしているのです。結局のところ、頼朝は生きていて、奇跡的な逆転勝利を収めていくことになりました。

 したがって、政子は平和な現代に生きている現代の私たちには到底考え難い体験を積み重ねているのです。また、それを周りの御家人たち、東国武士たちも知っています。政子は彼らに見られている。政子も彼らを見ている。そして、頼朝も政子を見ている。政子も頼朝を見ている。そういう関係で、源平の合戦もずっと勝ち上がっていくということを、政子は体験していました。これはやはり人間を大きく変える要因だと思います。

 もちろん東国武士たちが頼朝を支えなければ、勝つことはできません。その頼朝は、最初...

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