鎌倉殿と北条氏
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
御台所となった北条政子が果たした重要な役割とは
鎌倉殿と北条氏(5)源頼朝の妻となった北条政子の実像
坂井孝一(創価大学文学部教授/博士(文学))
北条政子には源頼朝没後の「尼将軍」イメージが強いが、彼女をそのように成長させたのは頼朝とともに苦労をした戦乱下の数々の体験だった。伊豆で生まれ育った、ありふれた武士の娘から御台所となった政子が頼朝と東国の武士たちをつなげる重要な役割を果たしていくことになるのだが、色好みの頼朝に苦労させられたエピソードも数多く、苛烈なものである。(全9話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分00秒
収録日:2021年11月8日
追加日:2022年2月6日

●源頼朝と苦労をともにした北条政子と東国武士


―― 最初の講義で、北条政子は源頼朝と結ばれたことで人間的にもだいぶ成長し、深みが出てきたというお話がありました。もともと政子はどういう人間だったか、どのように成長したのかという点について、どのように見ておられますか。

坂井 北条氏は中規模程度の武士団で、北条時政の父親の名前すら確定していないほどです。ですから、政子の幼少期や若い頃のことは、当然のごとくあまり分かっていません。成長した政子からさかのぼって、若い頃はこうだったのか、あるいは若い頃はそうした才能はなかったが新たな経験を積むことで才能が花開いていったのかと考えざるを得ないわけです。

 ともあれ政子も頼朝と一緒に大きな苦労をします。何といっても挙兵の第一戦が、山木兼隆を攻めるというものでした。ここを北条氏とその他少しの軍勢だけで攻めるのですから、勝てるとは限らない。もちろん勝てなければ逆に殺されてしまうかもしれない。そのような大変な状況の中で、政子も父の時政や弟の北条義時を送り出すわけです。それは、かなりの覚悟が要ることでした。

 さらに、石橋山の戦いで大敗をしたという知らせが、政子のもとに届きます。この時、政子は伊豆山権現というところに匿われていました。女性だったので避難していたわけですが、時政の後妻の牧の方と、後に阿波局といわれる政子の妹なども一緒になって、戦勝祈願のお祈りをしていました。

 そこに、大敗を喫して、生きているか死んでいるかも分からないという知らせが届きました。もちろん生きた心地はしなかったでしょう。そのような普通に生きている人生の中では考えられない壮絶な体験を、政子はしているのです。結局のところ、頼朝は生きていて、奇跡的な逆転勝利を収めていくことになりました。

 したがって、政子は平和な現代に生きている現代の私たちには到底考え難い体験を積み重ねているのです。また、それを周りの御家人たち、東国武士たちも知っています。政子は彼らに見られている。政子も彼らを見ている。そして、頼朝も政子を見ている。政子も頼朝を見ている。そういう関係で、源平の合戦もずっと勝ち上がっていくということを、政子は体験していました。これはやはり人間を大きく変える要因だと思います。

 もちろん東国武士たちが頼朝を支えなければ、勝つことはできません。その頼朝は、最初...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(3)医療の大転換と日本の可能性
近代医学はもはや賞味期限…日本が担うべき新しい医療へ
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
『「甘え」の構造』と現代日本(2)日本人の自責意識と自由の限界
「Thank you」か「I am sorry」か…日本人の癖とは?
與那覇潤
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生