鎌倉殿と北条氏
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
貴種流離譚――源頼朝と八重が織りなす悲恋の物語とは
第2話へ進む
2022年大河『鎌倉殿の13人』 流人・源頼朝の起こした女性関係のトラブルからはじまった北条氏との運命
鎌倉殿と北条氏(1)北条氏はなぜ権力闘争を勝ち抜いたのか
坂井孝一(創価大学文学部教授/博士(文学))
公家の世から武士の世へと大きく転換した時代、その舵取り役を果たしたのは、いうまでもなく東国武士たちだった。とりわけ源頼朝の妻となった北条政子とその実家である北条氏が、大きな役割を果たすことになっていく。ここでは、北条氏が源頼朝を支えることになる経緯を中心に、北条時政・政子・義時というキャラクター際立つ3人について解説する。(全9話中第1話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:16分24秒
収録日:2021年11月8日
追加日:2022年1月9日
≪全文≫

●北条氏は伊豆に本拠地を持つ中規模程度の武士団だった


―― 皆さま、こんにちは。本日は坂井孝一先生に鎌倉時代の執権北条氏についての講義をいただきたいと思います。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

坂井 よろしくお願いします。

―― 坂井先生は、『鎌倉殿と執権北条氏:義時はいかに朝廷を乗り越えたか』(NHK出版新書)『源氏将軍断絶 なぜ頼朝の血は三代で途絶えたか』(PHP新書)『承久の乱-真の「武者の世」を告げる大乱』(中公新書)などの書籍を出していらっしゃる一方、2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の時代考証も務めていらっしゃいます。

 早速ですが、本日はなぜ北条氏がああいう形で権力を取ることになったのかをうかがいたいと思います。もともと彼らは地方の小さい武士団ということになるわけですよね。

坂井 はい。北条氏というのは、伊豆の田方郡北条に狩野川という川が流れていますが、その中流域からやや下流に近いほうに本拠地を持つ、中規模程度の武士団でした。

―― 中規模というと、だいたいどのぐらいの規模でしょうか。

坂井 例えば相模国(現・神奈川県)には三浦氏という武士団がありました。彼らは、三浦半島から鎌倉に続くあたりの土地を支配下に収め、「三浦介(みうらのすけ)」と名乗りました。「介」という名乗りは、相模国全体で国司の次の地位だということになります。行政面でも相当な力を持っていたといわれます。

 北条氏は三浦氏などに比べると、治めている土地が非常に狭く、配下にいる武士の数も少ない。一族一門を広げてみても、大した人数にはなりません。また、彼らのいた伊豆国の三島にも同じように国司がいて、その役所がありましたし、先述した「介」という国司に次ぐ地位としては狩野氏という別の一族がいました。

 逆にいうと、北条氏は三浦氏のように国司に次ぐ地位にはなれず、国衙(国司の役所)における「在庁官人」に留まりました。そこに勤め、事務的なことや行政の一端を担う規模の地位の武士団だったということになります。


●流人・源頼朝の起こしたトラブルで生まれた北条氏との縁


―― かなり小さい規模の武士団だった北条氏が、なぜあの鎌倉幕府の第一権力に到達するのかというところが興味深いですね。

坂井 そうですね...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
戦国合戦の真実(1)兵の動員はこうして行なわれた
戦国時代の兵の動員とは?…無視できない農民の事情
中村彰彦
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥