天下人・織田信長の実像に迫る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
天下人となった織田信長が努めたのは朝廷や寺社の保護だった
天下人・織田信長の実像に迫る(5)朝廷・寺社との関係
柴裕之(東洋大学文学部史学科非常勤講師/駒澤大学文学部歴史学科日本史学専攻非常勤講師/ 文学博士)
天下人となった織田信長は、これまで「革命児として朝廷や寺社勢力を排除した」というイメージで伝えられてきた。しかし最近の研究によると、実情はそうではない。朝廷や寺社を保護し、同時代の政治や社会の「保障者」であろうと努めた信長の実像を、ここでは掘り下げてみたい。(全11話中第5話)
時間:15分52秒
収録日:2020年3月17日
追加日:2020年7月27日
≪全文≫

●朝廷や寺社勢力の保護に努めることが天下人・織田信長のスタンス


 さて、天下人となった織田信長は、いったいどのような立場を歩んでいったのでしょうか。今回はそういったことを、中央にある朝廷や、朝廷に深い関わりを持つ寺社との関わりから見ていきたいと思います。

 一般に私たちには、「信長は革命児だから朝廷や伝統的な宗教(寺社)勢力を排除していく」というイメージが強いのではないのでしょうか。ところが、実際の信長はどうだったかを見ていくと、実は彼らを支えていく活動を行っていたことが分かっています。具体的にいうと、彼らの活動基盤である所領(寺社の場合は本所領)を、織田信長は保護していたことが分かっています。

 こうした立場が信長だけの特別な行いかというと、決してそうではありません。戦国時代に天下人としてあった、室町幕府の将軍足利氏が行っていたことを信長も引き継いだということです。すなわち、天下人になった信長は、その立場から、天下と深い関わりを持つ朝廷や、朝廷と関わり深い寺社勢力を保護する存在になったということです。ですので、彼らの保護に努めることが信長のスタンスとしてあったことを、まずは押さえておかないとなりません。


●「天皇に譲位を迫った」「朝廷を意のまま」説の真実


 そうなると、朝廷や寺社勢力との具体的な関わりはどうだったのかが、次の問題になってくるでしょう。そこで信長と朝廷について見ていきたいと思いますが、一般的に信長というと、「天皇に譲位を迫った」とか「朝廷を意のままにしようとした」といったことが言われているかと思います。

 実際のところは、まず天皇の譲位からお話しすると、これについては天皇側が持ち出したことだったのが分かっています。中世の天皇というのは、亡くなるまで天皇の立場にいるのではなく、譲位を行うのが基本的なスタイルでした。ところが、戦国時代には譲位を行う費用がないため、天皇が亡くなるまで天皇にあり続けるといった、異常ともいうべき事態が起きていました。そういったなかで、信長は天皇側の要請を受けて、譲位を行うように取り計らうことに努めていたことが分かっています。

 朝廷の運営についてはどうだったのでしょう。この時代、朝廷という存在は「政治」という面で日本を支配していくことはなくなっていたのですが、実は「秩序」という側面では依然として活動を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
家康の人間成長~戦略性をいかに培ったか(1)今川「人質」時代と今川義元の思惑
徳川家康の秘密…「辛抱」イメージとは異なる自由奔放な人質時代
小和田哲男
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫

人気の講義ランキングTOP10
核DNAからさぐる日本のルーツ(1)人類の起源と広がり
核DNAデータで日本人のルーツを探る…アフリカから日本まで来た行程と時期は?
斎藤成也
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
「ホメロス叙事詩」を読むために(7)オデュッセウスの冒険
ホメロスの『オデュッセイア』が描く苦難と誘惑の冒険譚
納富信留
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫