天下人・織田信長の実像に迫る
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本能寺の変前後で光秀に起こった突発的偶然と予期せぬ事態
天下人・織田信長の実像に迫る(10)本能寺の変・後編
歴史と社会
柴裕之(東洋大学文学部史学科非常勤講師/駒澤大学文学部歴史学科日本史学専攻非常勤講師/ 文学博士)
「本能寺の変」についての研究は『石谷家文書』発見により進み、浮上したのが「四国問題」である。長宗我部氏をめぐる周旋役を担当していたのが惟任家であったため、四国の動向は光秀の将来を左右する問題となる。そんな折に信長から下ったのが、中国へ進軍して秀吉を救援せよとの命令だった。(全11話中第10話)
時間:12分51秒
収録日:2020年3月17日
追加日:2020年8月31日
≪全文≫

●四国をめぐる光秀と惟任家の苦悩


 (前回お話しした四国問題と)光秀や惟任家はどういう関係があったのでしょうか。実は、織田・長宗我部の関係を取り持っていた存在こそが光秀であり、さらには惟任家だったわけです。

 どのようなつながりからそのような配置がなされていたのかというと、どうやら光秀の重臣であった斎藤利三という人物が働いていたようです。彼の親戚関係が長宗我部元親とつながっていたことを活用して、織田・長宗我部の関係はつくられていました。光秀は、長宗我部との関係を築くことによって四国の運営に携わり、織田政権の発展に貢献していたことになるわけです。

 ところが、(天正十年の)今、事態は変わりつつあります。要するに、光秀が関係構築に努めてきた長宗我部が、敵対する存在になる。そういった状況は、当然、その関わりのなかで織田政権における重鎮という立場を築いてきた惟任家の行く末にも大きく関わっていくことにもなります。

 こうしたなかから光秀(惟任家)側としては、当然この関係を維持しなければならないという動きが出ます。そこで、どうするかというと、光秀は利三らを使って、長宗我部側に信長の求めに応じるように働きかけをしてくるわけです。この結果、五月二十一日にどうやら長宗我部氏が条件付きで応じたことが、『石谷家文書』という史料から分かってきています。


●四国問題に下した決断は、三つの選択肢の一つだった


 ここで注目していただきたいのは、それがいい事態だったのかということです。長宗我部の問題については、彼らがそういう態度を取ったことでもう終わるはずではないかと思われるかもしれません。しかしながら、まずはこの五月二十一日の書状が、果たして本能寺の変前の光秀に届いたかという問題が一つあります。

 さらに、五月二十一日段階の惟任家の状況を見ると、光秀(惟任家)は四国問題よりも中国地方における働きを求められます。要するに羽柴秀吉の支援に向かえと要請されたわけで、中国地方に専念する立場に回され、四国の問題からは外されてしまう状況になりました。惟任家からすれば、これは将来に対する不安を大きく募らせていくものでした。

 こうしたなかで、どのような対応が取られていくかが問題になります。実は、このようなあり方は各地の戦国大名家でも見られることでした。そういう場合にどういう対応が取...

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