天下人・織田信長の実像に迫る
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
家臣からの諫言の逸話が物語る織田信長の実像
天下人・織田信長の実像に迫る(7)織田政権への忠義
柴裕之(東洋大学文学部史学科非常勤講師/駒澤大学文学部歴史学科日本史学専攻非常勤講師/ 文学博士)
織田信長というとワンマンの印象が強く、家臣たちは皆戦々恐々として、その命令に従っていたイメージがある。果たして、本当にそうだったのか。実際の信長は、時には家臣からの諫言にも耳を傾けていたようだ。信長が家臣たちに求めていたのは織田政権への忠義である。これは当時の戦国大名の在り方そのものであり、それがやがて不幸を招いていく。(全11話中第7話)
時間:11分26秒
収録日:2020年3月17日
追加日:2020年8月10日
≪全文≫

●家臣たちは「何事も信長申す次第」に縛られたのか


 前回では、織田信長は同時代の諸勢力を排除するのではなく、共存の上で国内を統合していく天下人であったことを見てきました。それでは、信長を支える家臣はどうあったのか。今回は、そこを見ていきたいと思います。

 本能寺の変の前、信長の勢力圏は、この図にあるように、東は関東から、西は中国地方に及ぶようになってきます。さらに、ちょっと押さえておいていただきたいのは、今も申し上げたように直接的に織田家が治める地域は関東から中国地方ですけれども、この頃、東日本で信長と敵対する勢力は、越後の上杉氏と、それに協力する勢力のみになっていることです。天正十(1582)年になりますと、そのように信長の下で国内がまとまっていく状況ができてきます。

 では、そのなかで、織田の勢力圏はどのように運営されていたのか。これが信長と家臣との問題になってくると思います。一般的にどのように言われているかというと、信長は各地に自分の信頼する重臣を派遣して、その地域の平定と支配を進めていったということです。

 この在り方自体は、他の戦国大名においても見られることですので、特段注目するべきことではありません。信長について押さえておいていただきたいのは、彼が自分で全部取り仕切っていた、つまり彼の命じたことを任された家臣たちは、忠実に行うことが求められる存在だと言われていたところです。

 これが本当にそうなのかどうかが問題です。越前国掟」という史料を見ると、「何事においても、信長申す次第に覚悟肝要に候」とあり、要するに「何事についても、信長が言った次第、行うべきである」と書かれています。ここからすれば、家臣たちは信長に言われた通りに活動していかなければならないということになってきます。


●戦国時代の統治者には求められていた「諫言」の受容


 しかし一方で、もう一つ注目していただきたいのは、「無理難題であると思いながらも、巧みに応じるのはけしからん」と信長が言っていることです。どういうことかというと、「これは無理であるし、望ましくないのだけれども、信長様に言われたのだから、その通りにしなければならない」といった態度は好ましくない。そういったことがあったときには、信長に意見するように、ということです。

 ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
石田梅岩の心学に学ぶ(6)禅から茶道へ
全てが悟りに至る道…日本は茶や花や野球にも「道」がある
田口佳史
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎