天下人・織田信長の実像に迫る
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織田信長が進めていた「天下一統」という事業とは
天下人・織田信長の実像に迫る(6)天下人としての「天下一統」
柴裕之(東洋大学文学部史学科非常勤講師/駒澤大学文学部歴史学科日本史学専攻非常勤講師/ 文学博士)
畿内を制した織田信長は、地方に対してもさまざまな手を打っていく。敵対する者には武力で向かい、そうでない者には中央に従うことによる共存を呼びかけていった。天下という存在の下で、それぞれの地域が治まり、まとまった活動をしていくことが、足利家以来の「天下一統」の理想だったのである。(全11話中第6話)
時間:13分22秒
収録日:2020年3月17日
追加日:2020年8月3日
≪全文≫

●地域勢力との関係と織田信長の「戦争」


 前回は、織田信長が中央において朝廷や宗教(寺社)勢力の保護に努める存在だったというお話をしました。続いては、各地の大名や国衆とはどうあったのだろうかという問題が上がってくるかと思います。

 一般的に信長は、やはり「天下布武」という言葉から、地方の大名や国衆などの存在を打ち滅ぼして国内を一つにしていくようなイメージが持たれています。いわゆる「天下統一」という視点から、その関係が考えられてきたかと思いますが、実際にはどうなのか。

 このことは、信長の「戦争」というところにも関わってきます。戦争という視点で信長を見ていくと、信長の戦争も当時の戦国大名たちと同じ要因から行われていたことが分かっています。

 信長の勢力圏である「領国」を維持していくにあたっては、いろいろな領土問題が起きてきます。そうしたなかで、領土の解決や維持を行うために信長が選んだのが「戦争」という道だったということです。

 ただし、注意してほしいことがあります。これまでに述べたように、信長は「天下人」としてあるということです。そのなかで、信長を天下人として認めない勢力はどうしていったかというと、信長に敵対するためにかつての天下人だった足利義昭を擁していきます。

 つまり、信長の戦争は、戦国大名と同じように領土問題に端を発しつつも、もう一つ、足利義昭との関係のなかで起きていたわけです。そうした背景のもと、例えば天正四(1576)年には安芸の毛利氏や越後の上杉氏と対立していく。さらに、それ以前から対立していた甲斐武田氏との戦争も展開していくということになってきます。


●大名や国衆と共存する天下の在り方を描いた織田信長


 こうしたなかで戦争が行われていくわけですが、信長は全ての物事を戦争によって解決していこうとするスタンスで進んでいったのかというと、決してそうではありません。その一方でもう一つ、注目していただきたいのは、信長が各地の大名や国衆と通交を行っていたことです。

 つまり、領土問題が発生しなければ、あるいはうまく収まるようであれば、信長と大名や国衆という存在は共存し合える事態もあったということです。実際、信長は、そういった大名や国衆との通交を重んじていくスタンスを取っています。

 このことから見えてくるのは、従来の私たちのイメージに刻...

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