明智光秀の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
明智光秀はなぜ「本能寺の変」を起こしたか…謀反の諸説
明智光秀の真実(4)「本能寺の変」の謎
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
「本能寺の変」の謎には、いくつもの仮説がある。古くから囁かれるのが「怨恨説」と「天下取りの野望説」であり、一時は「黒幕説」が盛んだったが、直近では「四国問題説」が浮上している。複合的な要因の核として、「織田信長非道阻止説」を詳しくうかがっていく。(全5話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分45秒
収録日:2019年11月22日
追加日:2020年1月14日
≪全文≫

●「京都御馬揃え」采配の栄光と、「毛利攻め」応援の落差


―― 丹波平定後は、いよいよ明智光秀といえば「本能寺の変」ということになっていきます。そもそも一番最初の出世頭で、城持ち大名になるのも一番だった光秀。この段階では、だいぶ羽柴秀吉がガンガンやってはきますが、まだ完全に負けたというわけではないですよね。

小和田 そうですね。

―― そういう背景からしても、なぜとなります。これは昔から歴史好きの方々のたいへん好きな領域で、そこに「本能寺の謎」があるといわれるのですが、ではなぜその光秀がそんなことを起こしてしまったのか。

小和田 本能寺の変の一年少し前、天正9(1581)年の2月に織田信長が「京都御馬揃え」という軍事パレードを行います。これは皇居のすぐ横の道を、織田軍団約6万が行進するという壮麗なものでした。その6万の采配を振ったのが、実は光秀なのです。ということは、信長から「お前が織田軍団の一番だ」と言われたに等しいことです。

 ところが、その1年後の天正10年5月に、信長から今度は「毛利攻めで苦心している(羽柴)秀吉の応援に行け」と言われる。「応援に行け」ということは、要するに秀吉の命令下に入れということです。前の年に、秀吉に勝ったつもりでいた光秀にしてみれば、ここでまた秀吉にやられたのかという思いになるので、このショックが私は大きかったと思っています。

―― 秀吉の下に置かれてしまったという感じを受けたわけですね。


●「怨恨説」「天下取りの野望説」「黒幕説」の真実


小和田 本能寺の変に関しては、従来からいろいろな説があります。昔から一番よく言われるのは「怨恨説」、今でいうパワハラに対する恨みです。確かにパワハラに当たるようなことを光秀は受けていますから、これをまったく否定はしないのですが、怨恨だけであれだけの大事をやったのかというと、私はむしろそうではないなと思っています。

 それから、これも昔からよく言われているのは「天下取りの野望」説。光秀も武将として生まれたからには、一度は天下に号令したい。今がチャンスだ、と信長を討ったというのですが、あれだけの大事業に至るには、それだけでは理由になりにくい。

 10年少し前によく言われていたのは、いわゆる朝廷などの「黒幕説」。

―― 黒幕説は、いろいろありましたね。

小和田 そうです。朝廷であったり、足利義...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(5)ヒラリーの無念と日米の半導体問題
大統領選が10年早かったら…全盛期のヒラリーはすごすぎた
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二