明智光秀の真実
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
織田信長に高く評価された明智光秀の功績と凄さ
明智光秀の真実(2)織田信長との出会いと活躍
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
足利義昭の周旋役として、明智光秀は織田信長に接近する。当初は「両属」として義昭・信長の双方に仕えていた光秀だが、やがて室町幕府再興の望みは捨て、信長の家臣として実力を発揮することになる。そうして、金ヶ崎の退き口や比叡山焼き討ちで武将としての功績を挙げていく。(全5話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:11分50秒
収録日:2019年11月22日
追加日:2019年12月31日
≪全文≫

●室町将軍の周旋役として


―― 先生のご著書に『明智光秀 本能寺の変』(PHP文庫)があります。PHP新書から文庫入りしたものですが、このなかで「斎藤道三と類縁」ということが書かれていました。

小和田 そうですね。道三の正室か側室かは分かりませんが、「小見の方」という人がいます。どうも明智光秀の叔母にあたるそうで、そこで生まれてきたのが濃姫(帰蝶)です。そうなると、光秀と帰蝶はいとこ同士ということになります。このことが、後に織田信長と接点を持つための発端になるだろうと考えられます。

―― そういう人間関係がきっかけになったということですね。可能性の一つとしては、先ほど先生がおっしゃったように、息子の義龍と争った時に負けた道三側についた光秀は越前に逃れた。そこからどうやって名を上げていくのか、その過程になりますが、どうでしょう。

小和田 これはたまたまなのですが、永禄8(1565)年に13代将軍の足利義輝が三好三人衆に襲われます。義輝の弟には、奈良の僧で「覚慶(かくけい)」と名乗っていた足利義昭がいました。これが、「兄が討たれたから自分が将軍になる」と還俗し、細川藤孝とともに各地を逃げ回った末、越前の朝倉義景のところを頼っていきます。義昭は義景をせっついて、「俺を将軍にしてくれよ」と働きかけるのですが、義景は当時なかなか腰を上げませんでした。

 そういう義昭と接触を持った光秀が、「朝倉義景では、京へ連れて行ってもらえる見込みはないけれど、私の知り合いで尾張から美濃まで勢力を伸ばした織田信長が強大な力を持っている。彼を頼ったらどうだ」と言ったのではないかと思います。


●両属から織田家直臣へ


小和田 そこで、おそらく足利義昭は細川藤孝と相談の上、織田信長を頼ろうと決め、使いのようなかたちで明智光秀が信長のところに派遣されたのでしょう。その縁で、朝倉義景を見限った義昭や藤孝が、光秀とともに信長のところにやってきたというのです。これが、永禄11(1568)年の7~8月頃なのです。

 これを契機にして、信長が義昭を擁して上洛します。そして、すぐに義昭を15代将軍に据えるのですが、どうもこの時点の光秀は、義昭の家臣でもあると同時に信長にも仕えるという感じです。今でいえば、二人から給料をもらう感じで、私は二人に属していることから「両属」という言い方をしています。そうしたかたちでしば...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治