明智光秀の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
政治家としての明智光秀、知られざるその実像
明智光秀の真実(3)織田軍団での光秀の存在とその役割
歴史と社会
小和田哲男(静岡大学名誉教授/文学博士)
織田家家臣として、羽柴秀吉に並ぶスピード出世を遂げた明智光秀だが、彼のどんな点を織田信長は買っていたのだろうか。また、同時代人には、光秀と秀吉の関係はどう映ったのか。さらに領主としての光秀の政策を通し、政治家としての側面も掘り下げていく。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:8分31秒
収録日:2019年11月22日
追加日:2020年1月7日
≪全文≫

●織田信長は明智光秀の何を買い、同時代人はどう評価したのか


―― では、二つお聞きしたいのですが、まず一つ目に織田信長は明智光秀のどういうところを買ったのでしょう。

小和田 それはやはり冒頭に申しましたように、彼が教養のある文化人だったことが一つあります。それで、結構京都人脈とつながっていたということです。これは、先祖が室町幕府の奉公衆だということにも多分リンクしてくるかと思います。羽柴秀吉や柴田勝家のような尾張出身者は、京都のお公家さんのような人たちとの接触があまり得意ではありませんでした。光秀はむしろその辺が得意だったのを信長は見て、京都奉行にも多分抜擢したのだと思います。

 もう一つは、金ヶ崎の退き口や比叡山での功績です。武将としてもこれは使えるぞ、というかたちで、どんどん使ったのではないかと思います。

―― 最初は外交役のような立場だったけれど、意外に戦も上手だったということですね。信長がそういうところを買ったとすると、今度は秀吉との対比が気になるところですが、いわゆる同時代のライバルとして、史料ではどのような人物像としてそれぞれ描かれていますか。

小和田 秀吉のほうは豪放磊落なような書き方をされ、光秀の場合は慇懃ないし謹厳実直な人柄だとされています。そんな二人だから、立場も全然違うと書かれています。おそらく信長あたりも、その違いをうまく使ったのではないかと思います。

―― まったくタイプが違ったわけですね。

小和田 タイプの違う二人を、同じようなことでうまく引き立てたということです。


●丹波攻めと中国毛利攻め、ナンバー2の熾烈な争い


―― 明智光秀の立場から考えると、羽柴秀吉のように「なんでもあり」で、明るくて、うわーっと行ってしまうようなタイプと出世争いをするのは、相当たいへんな話ですよね。

小和田 そうですね。だから、着々と成果を挙げていくしかないといった思いでいたのではないでしょうか。

 ちょうどその頃、光秀は丹波攻めを命じられます。丹波は京都のすぐ隣なので、みんな信長になびいていたのではないのかと言われるのですが、意外と難航します。実は天正元(1573)年に足利義昭将軍が追放されるまでは、丹波の人たちはおとなしくて、みな将軍家に従っていました。

 ところが義昭が追放されたとたん、「これは違うぞ」ということで、彼らは信長に対して...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
寛政の改革・学問吟味と現代の教育改革(1)学問吟味の導入と正統性の問題
松平定信のもう一つの功績「学問吟味」の画期性に注目
中島隆博
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留