織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
明智光秀の家系図から読み解く人間関係
織田信長と足利義昭~検証・本能寺の変(4)信長の西国御出馬その2
藤田達生(三重大学教育学部教授)
系図は一族代々の系統を書き表すもので、封建社会では特に重んじられていた。では明智光秀の系図はどのようなものなのか。本能寺の変の真実に迫るべく、二つの図を参照しながら、光秀をめぐる人間関係、そして当時の織田家における勢力関係について解説を進める。(全8話中第4話)
時間:12分51秒
収録日:2018年10月29日
追加日:2019年2月22日
≪全文≫

●明智光秀の家系図から読み解く人間関係


 本当はあらかじめお話ししておかなければいけなかったのですが、ここで明智光秀をめぐる人間関係が分かるように書かれた系図のご説明をしていきたいと思います。

 明智光秀は非常に有名な存在ですが、そのルーツはいろいろな史料によって諸説紛々です。父や母は何者か、源流は美濃源氏などの説に始まり、子どもが何人、親戚に誰がいるなど、いろいろな本でさまざまに書かれており、確定できません。ここでも、父母については確定できないため、入れていません。これだけはいえるという最小範囲による系図を作成したので、〔図1〕をご覧ください。

 光秀には妻がいました。子どもは、年長の方では女性が多く、男子も何人かいましたが、名前まで明確な者はごく少ないため、ここでは限定的に書いています。娘としては、荒木村重の嫡男だった村次の妻になった人、一族の重臣だった光忠の妻になった人、また細川忠興の妻として有名になったガラシャ夫人、織田信長の甥に当たる信澄の妻がいました。息子では、ふつう光慶と呼ばれている十五郎他、何人か男子がいたようです。

 また、注目されていることとして、信長のお気に入りの側室「御ツマキ」が、光秀の義理に当たる妹だったという説があります。この側室の存在のおかげで、光秀は織田家に就職したり、出世したりすることができたと察するもので、実際にそう書いている史料もあります。信長にとって、光秀は非常に近い存在として意識されていたかもしれません。また、ここには書いていませんが、信長の正室といわれる濃姫(帰蝶)が光秀と非常に近い関係(例えば従妹関係)にあったという説もあります。私は、どちらも否定しにくいのではないかと思っています。

 いずれにせよ、光秀は、信長と、女性を媒介として非常に近い関係にあったのではないか。光秀が短期間に出世できたのは、おそらく準一門衆的な位置付けがあったからではないかと考えられるわけです。

 光秀は美濃源氏だったといわれます。当時、幕府の「奉行衆」と呼ばれていた役職(江戸時代でいえば「旗本衆」に相当)、時の将軍に直接従う近衛兵のような役割を果たした名門の出身だろうという推察で、おそらくその通りだろうと私は思います。系図からも、明智家は斎藤家や石谷家という美濃の奉公衆一族との縁組...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
ローマ史と江戸史で読み解く国家の盛衰(1)父祖の遺風
なぜ「父祖の遺風」がローマと江戸に共通する価値観なのか
本村凌二
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
徳川将軍と江戸幕府~徳川家斉(1)家斉が長期政権を維持できた理由
11代将軍・徳川家斉が50年もの長期政権を築けた理由
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
日本の財政と金融問題の現状(1)財政赤字の何が問題か
日本の財政は本当に悪いのか?将来世代と金利の問題に迫る
木下康司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
戦史に見る意思決定プロセス~日本海軍の決断(1)日本海海戦・東郷平八郎
なぜ東郷平八郎はバルチック艦隊を対馬で迎え撃ったのか?
山下万喜