天下人・織田信長の実像に迫る
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「天下再興」に向けた足利義昭の呼びかけに応じた織田信長
天下人・織田信長の実像に迫る(2)足利幕府と天下再興
歴史と社会
柴裕之(東洋大学文学部史学科非常勤講師/駒澤大学文学部歴史学科日本史学専攻非常勤講師/ 文学博士)
戦国時代の足利将軍は無力だったといわれるが、足利氏は京都周辺を治め、朝廷や寺社の庇護に努める「天下人」の役割を担い続けていた。しかし、連立を組んでいた三好氏による13代将軍義輝の殺害によって、天下は乱れることになる。「天下再興」に向けて名乗りを挙げたのが義輝の弟である足利義昭。一番に応じたのが織田信長だった。(全11話中第2話)
時間:9分57秒
収録日:2020年3月17日
追加日:2020年7月6日
≪全文≫

●戦国時代の「天下」と「天下人」


 それでは、前回お話しした時代のなかで、織田信長がどのように現れ、どのようなことを成していったのかを見ていきたいと思います。

 それにあたって、もう一度「天下」というものについてお話したいと思うのですが、「天下」というのは京都を中心とした周辺の地域、今風にいえば「首都圏」に当たるわけです。その首都圏を押さえた人物が、当時においての「天下人」というふうにいわれておりました。

 では、戦国時代において、天下人としてあったのは誰か。私たちは、信長や、次の羽柴秀吉、徳川家康という存在に注目しがちですが、実は戦国時代においては、天下人としてすでに室町幕府の将軍であった「足利氏」という存在がいたことを忘れてはならないかと思います。

 つまり、信長以前の足利氏という存在をまず押さえておかなければならないということです。戦国時代の足利氏というと、一般には「傀儡になった」というイメージが強いかもしれません。しかし、実は京都を中心とする五畿内においては、依然として権益保障や紛争解決といったもの行うのが将軍である足利氏であり、さらにその統治機構である幕府も存在していたことが明らかになっています。


●天下人としての足利将軍と連立政権


 そうしたなかで、足利氏は依然として朝廷(天皇を中心とした政治集団)や、朝廷と関わりのある寺社勢力などの存在の庇護に努める「天下人」としてあったことが分かっています。

 しかし、もう一つ押さえておかなければならないのは、この足利氏だけで万全だったのかというところです。実はこの頃の足利氏は、政治力や軍事力において非常に不安定な状況にありました。

 そこで、足利氏はどうしたかというと、当時「畿内」と呼ばれる中央において実力を誇っていた細川氏──もともと「管領」という足利氏を支える補佐役の立場にあった足利の一門や、細川氏の家臣から台頭してきた三好氏と、今風にいえば「連立」を組んだのです。

 連立を組むことによって、足りない部分、特に軍事力の面を補完し合って活動していたことが分かっています。つまり、足利氏を支える存在として、畿内の実力者である細川氏、さらにはそこから出てきた三好氏などの存在がいたわけです。


●将軍足利義輝の殺害と「天下再興」への動き


 そういったなかで中央情勢が動いていったわけですが、永...

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