戦国合戦の真実
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戦国時代、鉄砲の国産に成功した意外なきっかけ
戦国合戦の真実(5)変わり兜と鎧・鉄砲の伝来
武士が身につけるものに「兜」があるが、戦国時代には、トンボ、熊などを模したさまざまな「変わり兜」が制作された。これらは日本の武士のダンディズムの表れと考えられるが、一方で、戦国武将たちは、舶来物も重宝した。それが、ヨーロッパから持ち込まれた鉄砲、鎧、兜だ。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分28秒
収録日:2019年11月6日
追加日:2020年1月12日
≪全文≫

●変わり兜に表れた武士のダンディズム


中村 戦国時代というのは、金色のオオクワガタの兜など、日本的なダンディズムが発達した時代でもあります。

 変わり兜といって、熊の首の兜とか、鷲のくちばしの形の兜など、今あるようなヘルメットのデザインは、戦国から安土桃山時代にだいたい出そろっていますね。

―― 昆虫のもあるのですね。

中村 虫の場合、トンボが多いですね。トンボは鎧を着ているような虫だから、武士たちが非常に珍重するのです。戦国時代にトンボは「勝虫」、勝利の虫と書かれました。だから、トンボ模様の小袖が武士の娘たちには非常に喜ばれました。

―― 縁起がいいと。

中村 縁起物を非常に大事にするのです。

―― 鉄砲が入ってきて、鎧も形が変わってくるわけですね。

中村 そうですね。最初は「縅(おどし)」といって、太いしっかりした布で縫い合わせていたのですが、火縄銃が出てくると、貫通してしまうので危ないとなった。それで何かないかと言っていると、「キリシタン」「伴天連(バテレン)」といわれていたイエズス会士たちがちょうどゴア経由で西洋の甲冑を持ってくるわけですね。お金のある大名たちが喜んで着たのです。

 伴天連たちは、イソップ物語だけでなく、鎧も持ってきたのですね。特にドイツのニュールンベルク産の鎧は全部鋼でできています。「南蛮兜」「南蛮鎧」といって徳川家康も喜んでそれを買って、着用したものが残っています。南蛮鎧というのはカチャッと装着しまえば、顔面も全部安全です。最大の特徴は、モーターボートの底のように、胴の中央に縦に盛り上がっている「筋」です。これを「鎬筋(しのぎすじ)」と呼びます。

―― 刀の鎬(しのぎ)ということでいいのですね。

中村 そうです。円形になっているので、どう撃っても、ピュンと跳ねる。ストンとは入らない。どこから撃たれても反射角ができるようになっているのです。弾をはじく鎧だというので金のある人はみんなこれを欲しがった。先述した家康着用の鎧は試し弾といって試しに撃ってみたら貫通しなかった。ボコッと凹んだ凹みがよくわかる鎧が残っています。

 ところが、ニュールンベルク産の鎧というのはゲルマンの大男が着るもので、当時、日本人は160センチメートルもあったら大男という小柄な民族でしたので、大きすぎた。鎧を着ると、太もものあたりまでカバーしてしま...

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