戦国大名の外交、その舞台裏
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
兵の動員、鎧や具足、馬…戦国時代の合戦準備の実状とは
戦国大名の外交、その舞台裏(8)同盟の破棄と開戦:後編
丸島和洋(東京都市大学共通教育部 人文・社会科学系 教授)
大名同士の領地争いの際、国衆はしばしば両方の大名に服属した。こうした「両属」は争いを回避する有効な手段であった。しかし情勢が変わり、両属が困難になると、国衆の動きが本格的な戦争開始を決定づける要因にもなった。戦国大名にとって国衆の動きは常に重要なものだったのである。(全8話中第8話)
時間:9分01秒
収録日:2019年6月13日
追加日:2020年2月26日
≪全文≫

●両属の破綻:遠山氏の場合


 両属の典型例として、東美濃の国衆である遠山氏を見てみたいと思います。

 美濃には戦国大名として斎藤道三が勢力を伸ばしていましたが、遠山氏とは斎藤道三と従属関係を結んでいませんでした。ただ織田信長の父である織田信秀と友好関係にあり、信秀の妹や娘を奥さんにもらっているという関係にありました。ところが、信秀は道三との戦争に勝つことができず、最終的に道三と和睦を結び、道三の娘を嫡男・信長の奥さんに迎えてしまいました。遠山氏はこれにより突然孤立してしまったのです。

 このようなタイミングで、武田信玄は信濃南部(現・長野県南部)を制圧しました。突然東側に大大名が出現した遠山氏は危機感を覚えました。そこで、信玄に自発的に従属を申し出ることで、領国防衛を図ろうとしたのです。しかしこれは、道三の怒りを買うことになりました。道三からすれば、美濃の一角が武田領になってしまったからで、これは認めがたいというわけです。

 そこで道三は、娘婿の織田信長とともに遠山領に攻め込みます。当然ながらこれに対して遠山氏は、信玄に援軍を要請します。要請を受けた信玄は軍勢を美濃に動かすことになりました。この結果、武田・斎藤間で戦争が勃発するのです。これは、国衆の動向が戦国大名の戦争を引き起こした一つの事例であるといえます。

 信玄は戦争の泥沼化を怖れ、道三に和睦を持ちかけるのですが、道三は受け入れませんでした。ところが、事態はあっけない幕切れを迎えました。斎藤家でクーデターが起こり、嫡男・義龍が道三を敗死させ、強引に家督を継いだのです。おそらく、家臣団は信玄との開戦に危機感を覚えたのだと思います。この結果、斎藤氏は武田領国となっていた東美濃から手を引くことになります。

●武田と織田に両属するという国衆の外交


 しかしこの結果、斎藤家と織田家の同盟が崩壊しました。そして、織田信長はだんだんと美濃に勢力を延ばしていくことになりました。そうすると問題となってくるのが、信長の動向でした。遠山氏からすれば、織田家から3人ほど妻を迎えており、信長との関係は比較的良好でした。しかし、信長が美濃に勢力を伸ばしているということを考えると、武田につき続けるのか、信長に味方するのか、あるいは斎藤に味方するのか、立場をいずれ明確に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
徳川家康の果断と深謀~指導者論と組織論(1)率先し陣頭指揮する
徳川家康の「天下泰平」デザインとは?…陣頭指揮とカリスマ性
片山杜秀
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀

人気の講義ランキングTOP10
「満洲」から考える日本とアジア(4)蒙古襲来と清朝建国
実は元寇はモンゴル人ではなかった?満洲をめぐる民族興亡史と「漢族」との関係…蒙古襲来から清朝建国まで
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(8)『オデュッセイア』の世界的影響
オデュッセイアが物語のフォーマット?…アラビアンナイトから百合若物語、ひまわりまで
松村一男
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
テロメアから考える「アンチエイジング」(1)老化とテロメアの関係
テロメアの長さが「がんリスク」と「老化」のカギを握る
堀江重郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎